中国の自動車メーカー、EV電池の自社開発を加速
中国の自動車メーカーの間で、電気自動車(EV)電池を自社開発する動きが広がっている。中国のEV市場はし烈な価格競争が繰り広げられており、メーカーはEVコストの4~5割を占める電池の内製化で価格競争力を高める戦略だ。
中国の新興EVメーカー、蔚来汽車(NIO)の李斌最高経営責任者はこのほど、容量150kWhの超ロングレンジ電池パックの航続距離をテストするために、上海から「NIO ET7」を運転。その様子をネット中継した。「NIO ET7」は14時間をかけて、電池残量3%で1,044キロメートルを走破した。この電池パックはNIOが自社開発した半固体電池で、エネルギー密度は360Wh/kgと、車載電池最大手の寧徳時代(CATL)の三元系リチウムイオン電池「麒麟電池」の255Wh/kgを大きく上回った。
足もとではNIOに限らず、広州汽車集団傘下の広汽埃安新能源汽車(AION)、吉利汽車傘下で、高級EVブランド「ZEEKR」を展開するZEEKRインテリジェントといった中国の新興EVメーカーが相次いで自社開発電池を発表している。
11月に開催された広州モーターショーでは、長安汽車が自社開発の車載電池ブランド「金鐘罩」とその事業計画を発表。25年に固体電池の量産体制へと移行し、2030年に本格搭載する方針を示した。
EVの普及が急速に進む中、中国の車メーカーはEV販売を着実に伸ばしている。電池開発は大規模な投資が不可欠だが、量産によりスケールメリットを得られればコスト削減につながる。
また車メーカーにとって電池領域の参入は、発言権を強め、サプライヤーチェーン(供給網)の縛りから抜け出せるメリットもある。コロナ禍の半導体不足の記憶が新しいなかで、車各社はキーパーツとなる電池の安定供給を切望している。