米バイデン大統領、中国のハイテク分野への投資制限を発表
米バイデン大統領は現地時間9日、国家安全保障を理由に米国の企業や投資家による中国企業へのハイテク分野での投資を制限する新たな措置への大統領令に署名した。
米国のプライベートエクイティ、ベンチャーキャピタルなどによるハイテク分野での中国企業への投資に関しては政府への届出を義務付け、軍事やスパイ向けに利用される可能性のあるAI(人工知能)、半導体チップ設計のソフトウエア、軍事通信に利用されサイバーセキュリティーを危険にさらす暗号化技術や量子コンピューティング技術などへの投資については禁じる方針だ。米国内だけでなく、全世界の米国人に適用する。
米財務省は「新措置は最も深刻な国家安全保障上のリスクをもたらすこれらの技術分野に関連する特定の活動を行う事業体への特定の投資を禁止するものだ」と説明。新規の投資にのみ適用され、既存の取引には適用されない。一方、米国の年金基金などによる中国の公開証券への投資は制限しないとした。
今回の大統領令で数カ月間の意見募集を開始し、意見などを受けてすでに制限されている禁止範囲が縮小される可能性もある。
これまで米企業は、軍事関連の特定の品目に対する制限を除いて、他国での投資についてほぼ自由裁量権を与えられてきたが、トランプ政権とバイデン政権は米国の企業や投資家が中国企業に資金を提供することで、中国企業の軍事技術の発展を間接的にサポートしていると警告していた。半導体などの輸出規制に加えて、投資についても制限する形となる。