PC大手の米デル、26年から中国半導体企業との取引停止へ
米パソコン大手デル・テクノロジーズ(DELL)の脱中国へのシナリオが明らかになった。台湾紙『工商時報』によると、地政学的リスクの高まりに対応し、2026年から中国の半導体設計会社と半導体生産受託会社(ファウンドリー)との取引を停止するタイムスケジュールを定めたもようだ。
すでに今年1月の段階で、デルが中国本土メーカーや中国本土以外のメーカーが中国本土で製造した半導体を含め、24年までに中国本土製半導体の使用を完全に停止する予定であることをサプライチェーンやファウンドリーに通知したというニュースが業界内で流れていた。さらに情報筋によると、25年末までに生産能力の50%を中国から移転する計画であることも判明している。
『工商時報』の最新報道によると、デルはデスクトップパソコンとノートパソコン、その周辺機器の生産組み立てのファンドリーと部品調達サプライチェーンの「脱中国化」を段階的に進める方針だ。早ければ25年から米国内市場向け製品で、中国本土での生産委託・調達を段階的に停止する。25年末までに米国内で販売する製品の60%の「脱中国化」を、27年までに米国内で販売する製品の100%の「脱中国化」を完了させる計画だ。27年にはデル製品の35~40%が中国本土以外で生産されることになる。
デルは半導体調達における脱中国化も段階的に進める方針で、早ければ26年から中国企業が国内工場で生産した半導体の使用を先行的に停止する。その後、第2段階として、中国の半導体設計業者が海外のファウンドリーに委託して生産した半導体の購入を停止する。欧州、米国、日本、台湾、韓国などの半導体設計業者が中国のファウンドリーを通じて生産する半導体についても、生産地点の変更を勧告する可能性がある。
米市場調査機関ガートナーの調査によると、デルの22年のデスクトップパソコンとノートパソコンの総出荷台数は5,000万台に迫り、チップの調達総額は180億米ドル(約2兆4,300億円)に達したという。世界的な景気後退の中でも、今後2〜3年のデルの年間P C出荷台数は約4,700万台、各種チップの年間調達額は160億米ドル以上になると予想されている。