サムスン、米テイラー工場で月末に2ナノ試作開始 受注はすでにフル

韓国サムスン電子は9日、米テキサス州テイラーに建設した半導体工場で、今月末から2ナノメートル(nm)世代の半導体の試作生産を開始すると明らかにした。注目されるのは、同工場の予定生産分がすでにすべて予約済みとなっている点だ。量産開始を前に、実質的にフル稼働に近い状態が確保されている。
テイラー工場への需要が急拡大している背景には、米Tesla(テスラ)やBroadcom(ブロードコム)など大手テクノロジー企業からの大型受注がある。サムスンが現在抱える主な受注案件には、テスラのAI5チップ、ブロードコムの次世代通信半導体、英アーム(Arm)のAI向け半導体などが含まれるという。
生産能力については、テイラー工場の初期の月産能力を5万枚のウエハーとする計画で、半導体受託生産(ファウンドリー)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)の同等クラスの工場における月8万枚に近い水準となる。
サムスン電子は2025年4~6月期(第2四半期)の決算発表で、2026年の2nm受注量が前年の2倍以上に拡大するとの見通しを示している。2nmの受注拡大を追い風に、ファウンドリー事業の業績改善を急ぐ考えだ。
サムスンの2nmプロセスの歩留まりは今年初め時点で約60%だったが、足元では80%前後まで改善したとされる。この急速な改善が、大口顧客による発注を後押しする要因となっている。業界では、サムスンが2nm半導体の安定量産を予定通り実現すれば、TSMCに集中している顧客企業の一部が発注先をサムスンへ振り向ける可能性があるとの見方が広がっている。ファウンドリー市場におけるTSMCの圧倒的な優位性が揺らぐ可能性も指摘されている。
フル稼働への期待が高まるなか、サムスンは生産能力の拡張も加速させている。同社は韓国国内の協力企業から半導体製造装置を調達し、テイラー工場の第2期拡張工事を進める計画だ。テイラー第2工場は今年末の着工を予定しており、2030年の量産開始を目標としている。
準備作業も進んでいる。サムスンは最近、主要サプライヤーに対し、第2工場へ搬入する予定の半導体製造装置について、安全認証を前倒しで完了するよう要請したという。一部の協力企業では、数十人規模の人員をテイラー第2工場の建設現場に派遣する計画も進めている。
世界で2nm競争が激化 インテル、ラピダスも追撃
サムスンを取り巻く世界の先端半導体競争は、激しさを増している。米Intel(インテル)は、2nm相当の「18A」プロセスや、次世代の1.4nm相当となる「14A」プロセスへの投資を拡大している。先月には200億ドル(3兆0680億円)規模の新株発行も実施し、先端プロセス開発に向けた資金を確保した。
また、ソフトバンク、ソニー、トヨタなど日本企業8社が共同で設立したラピダス(Rapidus)は8月、北海道に新たなファウンドリー工場を完成させ、2nmウエハーの試作生産段階に入った。
一方、世界最大手のファウンドリーであるTSMCも、2nmの生産能力拡大と顧客の囲い込みを急ピッチで進めている。
複数の調査機関は、2026年後半から2027年にかけてが、2nmプロセスを巡る顧客獲得競争の正念場になると予測している。この時期は、AI向け半導体の計算能力に対する需要が急拡大する時期とも重なる。先端プロセスの主導権を巡り、サムスン、TSMC、インテル、ラピダスによる競争は、今後さらに激しさを増しそうだ。




