小米、独自開発の「玄戒」シリーズ3チップを発表

中国のスマートフォン大手の小米(シャオミ、北京市)は24日、同社独自開発の半導体チップ「玄戒(Xring)」シリーズの「玄戒O3」、「玄戒O100」、「玄戒D100」の3製品を発表した。

今回発表されたのは、スマートフォン向けフラッグシップSoCのほか、AI(人工知能)推論に特化した3D積層型アクセラレーター、さらに高度な自動運転を担う車載チップまでを一挙に投入。小米が半導体を単なるスマートフォン向け部品ではなく、AI端末から自動車までを支える自社技術基盤として位置付けていることが鮮明になった。

スマートフォン向けの最上位モデルとなるのが「玄戒O3」だ。O3は先進の3ナノメートル(nm)プロセスを採用し、チップ面積はわずか133mm²。トランジスタ数は240億個に達し、前世代の玄戒O1と比べて26%増加した。

CPU(中央演算処理装置)には、10コアの「全大コア」設計を採用する。GPU(画像処理装置)には、16コアの「G2-Ultra NX」グラフィックスプロセッサーを初採用。第3世代のレイトレーシングに対応し、GPU性能は85%向上する一方、消費電力は64%削減したという。

さらに注目されるのがメモリー対応だ。世界で初めてLPDDR6に対応したモバイルプロセッサーとされ、メモリー帯域は113.8GB/sに達する。玄戒O1から48%向上した。

AI処理を担うNPUも全面的に再設計されている。小米は自社の端末向けLLM(大規模言語モデル)「Xiaomi MiMo」を意識したアーキテクチャを採用し、200TOPSのテンソル演算性能、3.13TFLOPSのベクトル演算性能を実現。端末上でのAI性能は45%向上したとしている。ハイエンド製品向けに開発した「AIフラッグシップSoC」と位置付けてている。ベンチマーク「AnTuTu」では522万点を記録し、同社によれば初めて500万点を突破したフラッグシップSoCとなった。開発期間は459日。小米がスマートフォン向け半導体の自社開発にどこまで本気で取り組んでいるのかを示す製品ともいえる。

今回の発表で特に技術的な注目度が高いのが「玄戒O100」だ。O100は大規模AIモデル向けに設計されたAIアクセラレーターで、世界初の6nm 3Dウェハーレベル積層型AIアクセラレーターをうたう。

最大の特徴は、3D積層技術による超広帯域メモリーアクセス。O100は1.22TB/sの帯域幅を実現。小米は玄戒O3とO100をAI端末における「最適なコンビ」と位置付け、ローカルAI推論速度を最大330 Tokens/sまで引き上げられるとしている。AI専用の高速DRAMウェハー2層と、高性能NPUウェハー1層を垂直方向に積層する。

3D積層によってデータの物理的な移動距離を短縮し、複数の「トンネル」を通してデータを高速に移動させる仕組みだ。小米によれば、データ経路を増やすほど、より高い帯域幅を実現できる。そのために採用したのが、Hybrid Bonding(ハイブリッドボンディング)技術だ。従来のMicro Bump(マイクロバンプ)構造を使わず、物理的な接続経路の間隔をわずか1.4μmまで縮小。これによってデータ経路の密度を大幅に高めた。

さらにDRAMとNPU演算層の距離を縮めるため、Face to Face(F2F)金属層直接接続構造も採用している。O100には高演算性能のNPUを14基搭載。独自の高帯域マトリクスバスによって、NPUとメモリー、さらにNPU同士の間でデータを高速に転送できる設計となっている。単純に「NPUの演算性能を高める」だけではなく、AI処理における最大のボトルネックの一つであるメモリー帯域とデータ移動を3D積層によって解決することを狙ったチップといえる。

3つ目の「玄戒D100」は、自動運転・スマートカー向けの高性能SoCだ。小米によれば、D100は中国国内初の3nm高演算性能スマートドライビングチップで、20コアの高性能CPU、16コアの高性能NPU、最大160GBのユニファイドメモリー、最大200B(2,000億)パラメーターの大規模モデルをローカル実行可能という仕様を備える。

D100はすでにすべての検証を完了しており、2027年に正式商用化する予定だという。ただし、小米は実際の製品投入を待つことなく、技術を体験できるよう、D100をデスクトップ型AI端末「小米AI Cube Prototype」に先行搭載した。

このプロトタイプは宇宙航空用アルミニウムの一体成型ボディを採用し、CNC加工によって33,874個以上のハニカム状放熱孔を設けている。内部では120Bモデルと3Bモデルの2種類をローカル実行し、処理速度を重視するモードと省電力などを重視するモードを切り替えられるという。

小米の半導体戦略は、スマートフォンだけにとどまらない。小米初の自社開発3nmプロセッサー「玄戒O1」は25年に発表され、新世代チップは26年に中国市場で発売する新型スマートフォンへの搭載を皮切りに、その後海外市場にも展開する計画とされている。

さらに同社は海外市場向けに新しいAIアシスタントも開発しており、米Google(グーグル)の「Gemini」モデルとの連携を計画しているという。小米の自動車事業が海外市場へ進出する際にも、こうしたAI技術を同時に展開する構想が示されている。

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