ネクスペリア中国、量産を発表 12インチウエハーによるデバイス生産を実現

中国電子機器大手の聞泰科技(WINGTECH、湖北省黄石市)のオランダの完全子会社で半導体メーカー、Nexperia(安世半導体、ネクスペリア)の中国法人、安世半導体(中国)は9日、自社開発の「12インチプラットフォーム」に基づく技術開発により、12インチウエハーを用いたバイポーラディスクリートデバイスの小規模量産に成功したと発表した。
今回の発表は、オランダ本社からウエハー供給を停止された後も、安世半導体(中国)が国内の12インチウエハー製造プラットフォームを活用し、一部デバイスの現地生産を実現したことを示している。
また、12インチウエハーをベースに試作した新型ESD保護デバイスの開発にも成功した。これは信号伝送ラインの保護性能を最適化するもので、静電気放電(ESD)、サージ電流、短絡などから回路を効果的に保護できる。スマートフォンや携帯型電子機器などへの応用が想定されている。
オランダとの対立
オランダと中国の間で続くネクスペリアの支配権を巡る対立は、2025年9月末に始まった。オランダ政府は「企業統治上の問題」を理由に、中国の親会社である聞泰科技からネクスペリアの経営権を強制的に接収し、その後オランダの企業裁判所も関連する差し止め命令を出した。
25年10月初旬には、中国側が安世中国の工場で生産された製品に対して輸出規制を実施。さらに10月下旬には、オランダのネクスペリアが安世中国工場へのウエハー供給を停止した。これにより、世界の自動車メーカーで半導体不足が発生する事態となった。
25年11月には中蘭両政府が一部措置を緩和したものの、安世半導体の支配権を巡る法廷闘争や内部対立は現在も続いている。
従業員のアカウントを無効化
現時点でも、オランダ側のネクスペリアは安世中国工場へのウエハー供給を再開していない。さらに数日前には、オランダ側が安世半導体(中国)の従業員の業務アカウントを一括で無効化したため、一部の社内システムが使用不能となり、製造工程にも影響が出た。これを受けて安世半導体(中国)のIT部門と事業部門は緊急対応を開始し、重要システムや生産スケジュールの復旧を優先した。その結果、短期間で大部分の業務は再開され、生産活動も基本的に維持されたという。
では、なぜオランダ側はウエハー供給を停止して数カ月が経過したこの時期に、安世半導体(中国)の従業員アカウントを突然大量に無効化したのか。
中国の業界メディア、芯智詢は、オランダ側が内部システムを通じて、安世半導体(中国)が対象デバイスのウエハー製造の現地化で実質的な進展を遂げていることを把握した可能性があると分析している。これにより、ウエハー供給停止によって安世半導体(中国)の発展を抑え込むという戦略が機能しなくなる恐れが生じ、オランダ側がアカウント停止という手段で現地生産の進展を妨げようとした可能性があると指摘する。
実際、安世半導体(中国)も以前の声明で、オランダ側が社員アカウントを無効化した結果、「顧客提供ウエハーが工場に到着した後、SAPで発注し生産に移行する」工程が中断したと説明している。
オランダ側はすでに安世半導体(中国)へのウエハー供給を停止しており、安世半導体(中国)自身もウエハー製造工場を保有していない(上海・臨港に12インチ車載用ウエハー工場を持つ鼎泰匠芯は、聞泰科技や安世中国と資本関係はない)。そのため、ここで言う「顧客提供ウエハー」とは第三者から供給されたウエハーを指し、安世中国の工場ではそれらに対して最終的な封止・検査工程を行うことになる。これは同社がすでに一定のウエハー供給ルートを確保していることを裏付けている。
実際、安世半導体(中国)は昨年12月、販売代理店向け書簡の中で、26年のIGBT(絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ)製品向けウエハー生産能力を国内サプライヤーと確保したと説明。また、聞泰科技の実質支配者である張学政氏が関与する車載向けウエハーメーカー鼎泰匠芯(Wingsky Semi)のウエハー検証を加速させ、「十分な供給確保」を目指していると明らかにしていた。
報道によれば、鼎泰匠芯は安世半導体(中国)に対して12インチ車載用IGBTウエハーを供給する予定で、上海市の生産拠点では現在、月産3万枚の生産能力を有している。また、安世半導体(中国)は上海積塔半導体や芯聯集成からもIGBTウエハーを調達する計画だという。



