米国務省、DeepSeekなど中国企業によるAI知的財産窃取疑惑を世界に通告するよう指示

英ロイターが入手した外交電報によれば、米国務省は中国のAI開発企業、杭州深度求索人工知能基礎技術研究(DeepSeek、ディープシーク、浙江省杭州市)を含む中国企業が米国のAI(人工知能)ラボの知的財産を大規模に窃取しているとされる問題について、世界規模での行動を展開するよう指示を出した。24日付で世界各地の外交・領事機関に送付されたこの電報は、米国の外交官に対して外国の対応機関と協議し、「敵対勢力による米国AIモデルの抽出と蒸留(ディスティレーション)」への懸念を伝えるよう指示している。
電報は「北京に対して別途外交照会の要請と情報を送付し、中国側にこの問題を提起した」と指摘した。ここでいう「蒸留」とは、より大規模でコストの高いAIモデルの出力結果を用いて小規模なAIモデルを学習させることで、強力な新型AIツールの学習コストを削減する手法を指す。
ホワイトハウスも同様の指摘を行った。ホワイトハウス科学技術政策局長のマイケル・クラツィオス氏は覚書の中で「米国政府が保有する情報によれば、主に中国に拠点を置く外国組織が、米国の最先端AIシステムを蒸留する産業規模の組織的活動を意図的に展開している」と記した。
クラツィオス氏は、蒸留は合法的に使用される場合にはより軽量なモデルの構築においてAIエコシステムの重要な要素となるが、米国の研究開発を損なうための「産業的蒸留」は「容認できない」と述べた。「こっそりと行われる無許可の蒸留活動」によって作成されたモデルは元のモデルに及ばないものの、コストが大幅に削減されるため外国チームに利益をもたらし得るとした。また、中国側の活動は「数万個のプロキシアカウントを利用して検出を回避し、ジェイルブレイク技術を使用して独自情報を流出させている」と述べ、米国は「産業規模の蒸留活動に対して外国の行為者に責任を取らせる」措置を検討すると表明した。
米国務省はこの外交電報についてコメントを出していない。ロイターは今年2月、OpenAIが米国議会議員に対し、DeepSeekがChatGPTの製造元であるOpenAIおよび米国の主要AI企業を標的にモデルを複製し、自社の学習に使用していると警告したと報じていた。
中国駐米大使館は24日、これらの指摘は根拠がないと改めて表明した。大使館はロイターへの声明で「中国企業が米国のAI知的財産を窃取したという指摘は根拠がなく、中国のAI産業の発展と進歩に対する意図的な攻撃だ」と述べた。
低コストのAIモデルで世界を驚かせたDeepSeekは24日、注目の新モデル「V4」のプレビュー版を公開した。このモデルは中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、広東省深セン市)のチップ技術に対応するよう最適化されており、中国のこの分野における自主性の高まりを際立たせている。
DeepSeekはこの件についてコメントを出していない。同社はこれまで、「V3モデルはウェブクローリングで収集した自然発生データを使用しており、米OpenAIが生成した合成データを意図的に使用したわけではない」と述べていた。




