米議員がインテルに質問状、盛美上海との関係を巡り説明要求

米ブルームバーグの報道によると、米上院議員6人による超党派グループはこのほど、米半導体大手Intel(インテル)の最高経営責任者(CEO)であるLip-Bu Tan(リップ・ブー・タン、陳立武)氏に書簡を送り、米カリフォルニア州フリーモントに米国拠点を置く中国大手半導体製造装置メーカーである盛美半導体(ACM Research)との関係について、より詳しい説明を求めた。

議員らは書簡の中で、英ロイターが2025年12月に報じた内容を引用し、インテルが最先端プロセスの開発過程でACMの装置をテストしていたと指摘した。報道によれば、インテルはACMの湿式エッチング装置(wet etch tools)2台を評価しており、これらの装置は同社が2027年の量産を計画している最先端プロセス「Intel 14A」の製造試験に使用される予定だったという。

議員らはまた、米商務省が24年12月、ACMの中国・上海および韓国の子会社をエンティティー・リスト(輸出規制対象リスト)に追加したことにも言及した。理由として、これらの企業が中国による先端半導体や半導体製造装置の開発を支援した疑いがあるとされているが、盛美半導体はこれまでこうした指摘を否定している。

議員らは、インテルとACMの関係が懸念を呼んでいる背景として、米政府によるインテルへの関与にも触れた。2025年8月、当時のトランプ大統領の主導のもと、米政府はカリフォルニア州サンタクララに本社を置く先端半導体メーカーであるインテルの株式約10%を取得し、同社の筆頭株主となったとされる。議員らは、インテルが米国納税者の資金を受ける企業として責任ある管理を行うべきだとし、「ACMや米国の輸出規制を弱体化させる可能性のある企業とのさらなる協力を避けるべきだ」と求めた。

この書簡には、共和党のPete Ricketts(ピート・リケッツ)、Jim Banks(ジム・バンクス)、上院情報委員会委員長のTom Cotton(トム・コットン)の3議員と、民主党のAndy Kim(アンディ・キム)、Elissa Slotkin(エリッサ・スロットキン)、Elizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)の3議員が署名している。なお、コットン議員はトランプ氏の有力な盟友として知られ、米政府がインテルへの投資計画を発表する数週間前にも、陳立武氏の中国関連投資に懸念を示していた。

議員らは書簡の中で、「これはインテルの受託責任や公共利益の保護のあり方に関する重要な問題を提起するものだ」と述べ、「インテルが中国のブラックリスト企業と関係を持つことで、納税者の資金が米国の国家安全保障や半導体製造の主導的地位を脅かす可能性のある活動に使われているのではないかという疑念が生じている」と指摘した。

これに対しインテルの広報担当者は、同社は半導体製造の過程でACMの装置を使用しておらず、国家安全保障上の責任を極めて重視しているとコメントした。

ACM側は今回の報道については現時点でコメントしていない。ただし、英ロイターの以前の報道に対しては、特定の顧客との取引については言及できないとしつつも、同社の米国チームがアジア事業部門からの装置を複数米国内の顧客に販売・納入したことは認めている。また、米国の主要半導体メーカー1社に対し3台の装置をテスト目的で出荷し、そのうち一部は性能基準を満たしたとも明らかにしている。

なお、ACMは主に「盛美上海」を通じて中国で事業を展開しているものの、本社は米国に置かれている。そのため法的には米国企業とみなされており、エンティティー・リストに追加されたのは中国・上海および韓国の子会社であり、米国本社は対象外となっている。したがって、盛美半導体がインテルに装置を直接供給したとしても、規制違反には当たらないとみられている。このため、今回の議員の動きは書簡を通じた政治的な問題提起にとどまるとの見方もある。

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