米エヌビディアに対抗、AMDが「MI440X」を発表

企業向けAIデータセンター市場に本格攻勢

米半導体大手、Advanced Micro Devices(AMD、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)は5日、企業向けAI(人工知能)データセンターを対象とした新型チップ「MI440X」を発表した。AIハードウエア市場におけるNVIDIA(エヌビディア)の支配的地位をさらに切り崩す構えだ。

米ラスベガスで開催されたテクノロジー見本市「CES」で行われた基調講演において、AMDのリサ・スー最高経営責任者(CEO)は、中小規模の企業データセンター向けに設計されたMI440Xを発表するとともに、最上位製品である「MI455X」および関連システムについても重点的に紹介した。スー氏は「AI技術の進化スピードは極めて速く、市場における計算能力への需要は依然として満たされていない」と強調し、同社の取り組みはまだ始まったばかりだとの認識を示した。

今回の発表は、AMDの製品ラインアップを拡充するだけでなく、投資家が期待する市場シェア拡大、すなわちエヌビディアが独占してきた数百億ドル規模の受注の一部を獲得するという目標にも正面から応えるものとなった。ここ数年、AMDはAIチップを通じて数十億ドル規模の新規事業を創出しており、今回の投入はその成長基調を維持しつつ、製品の差別化による競争力を投資家に示す狙いがある。

OpenAIとの協業を強調

さらに、OpenAIの共同創業者であるグレッグ・ブロックマン氏が登壇し、両社のパートナーシップを支持する姿勢を示したほか、スー氏は2027年に投入予定の次世代「MI500」シリーズについても言及した。大幅な性能向上を約束するこのロードマップは、AMDが将来の技術競争に対して強い自信を持っていることを示している。

MI440Xは、企業向け市場への浸透を狙った製品で、比較的小規模なデータセンター向けに最適化されている。顧客は自社施設内にハードウエアを設置し、データをローカルに保持できるため、データプライバシーを重視し、大規模クラウドへの全面依存を避けたい企業にとって新たな選択肢となる。既存のコンパクトな計算システムにも適合する点が特徴だ。

一方で、スー氏は最上位チップMI455Xを基盤とするシステムが「能力の飛躍」を象徴すると述べた。MI455Xと新型CPU「Venice」を組み合わせた「Helios」システムは、今年後半の市場投入が見込まれており、極めて高い計算負荷に対応することを目的として、業界最高水準を直接的に意識した構成となっている。

AIチップ分野において、AMDはエヌビディアに最も近い競合企業と広く認識されている。投資家はAMDの株価を押し上げつつ、エヌビディアが握る巨額市場からどこまでシェアを奪えるかを注視しており、その成果が現在の高い企業評価を正当化する鍵になるとみられている。

スー氏は、エヌビディアを含む米国のテクノロジー企業幹部と同様に、AIブームはその経済効果と膨大な計算需要によって今後も続くとの見方を示した。「私たちが保有する計算能力は、需要に対して明らかに不足している。ここ数年のAI革新のスピードと規模は驚異的であり、まだ始まりに過ぎない」と語った。

OpenAIとの協業を象徴する形で、ブロックマン氏はスー氏と共に登壇し、将来のシステム展開やパートナーシップについて意見を交わした。両者は、将来の経済成長がAIリソースの可用性と密接に結び付くとの認識を共有している。

長期的な展望として、スー氏は27年に初登場するMI500シリーズの概要を示し、その性能が23年に投入されたMI300シリーズの1000倍に達すると説明した。極めて野心的なこの技術ロードマップは、AMDが長期にわたり継続的なイノベーションを実現できる企業であることを市場に示す狙いがある。

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