シンガポールの国家AI計画、Metaモデルを放棄しアリババ「千問」へ転換

シンガポールのメディアは25日、国家AI(人工知能)計画(AISG)が東南アジア向け大規模言語モデル(LLM)開発で、米Meta(メタ)モデルの採用を中止し、中国IT大手、阿里巴巴集団(アリババ・グループ)のオープンソースアーキテクチャ「通義千問(Qwen)」へ切り替えるという重要な戦略転換を進めていると報じた。これは中国発のオープンソースAIモデルが世界的な影響力をさらに広げた象徴的な動きと位置付けられている。

阿里巴巴集団傘下で、クラウドサービス事業を手掛ける阿里雲智能(アリババクラウド、Alibaba Cloud Intelligence) は同日、SNS「X」上で、シンガポール人工智能研究院(AISG)が開発した最新バージョンとなる大型言語モデル「Qwen-SEA-LION-v4」を発表した。このモデルは東南アジア地域の言語・文化・ビジネス需要に対応することを目的としており、AISG の公式サイトと Hugging Face で無料公開されている。

Alibaba Cloud によれば、このAIシステムはアリババの基盤モデル「Qwen3-32B」をベースに構築されており、同地域に向けた強力かつ使いやすいAIソリューション提供に向けた AISG の大きな前進を示すという。現在、東南アジア言語モデルの総合評価指標「SEA-HELM」ランキングでは、パラメータ数2000億未満の開源モデルの中で首位に立っている。

一方、一般消費者向けAI市場でもアリババは存在感を増している。同社のAIアプリ「千問」アプリは11月17日に公開テストを開始し、初週で累計1000万ダウンロードを突破。公開からわずか3日で中国本土のApp Store無料ランキング上位3位に入り、ChatGPT、Sora、DeepSeek を上回る史上最速ペースでの伸びを記録した。11月25日には香港・マカオ市場でも人気が急上昇し、App Storeマカオの無料ランキングで首位、香港でもトップ3入りを果たしている。

Alibaba’s Qwen powers AI Singapore’s latest LLM to Strengthen Multilingual Performance in Southeast Asia.

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