華為、新技術で英NVIDIAに対抗へ AIコンピューティングパワー利用率を大幅向上

中国メディアの観察者網は16日、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、広東省深セン市)が今週、AI(人工知能)分野における突破的な新技術を発表すると報じた。同技術は、コンピューティングパワーリソースの利用効率という難題を解決する可能性があり、GPU(画像処理半導体)やNPU(AI処理に特化したプロセッサ)などの利用率を業界平均の30〜40%から約70%へと大幅に引き上げ、ハードウェアの潜在性能を一気に解放するとされる。
関係者によると、この技術は「ソフトでハードを補う」という発想の延長線上にあり、米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)が2024年末に買収したイスラエル企業Run:aiの中核技術に対抗するものになるという。ソフトウェア技術を通じて、NVIDIA、同社独自のプロセッサ「昇騰(Ascend)」など異なるコンピューティングパワーハードウェアを統合管理し、AIの学習や推論の効率を高める狙いがある。
NVIDIAは24年12月、約7億ドル(約510億円)でRun:aiを買収した。Run:aiは創業以来、「どうGPU(画像処理半導体)を効率よく使うか」だけに集中し、GPUの可視化管理や作業割り当て、利用権限の調整などを提供してきた企業で、GPUの“データプロダクトマネージャー”と呼ばれる存在だ。
大規模テック企業にとっては自前開発も可能な領域だが、中小企業や非AI産業にとっては極めて重要な支援技術だった。ユーザーにはZebra Technologies、イギリスの自動運転新興企業Wayve、ロンドン医療影像AIセンターなどが含まれ、WayveはRun:ai導入によりGPUクラスターの利用効率を25%未満から80%以上へ引き上げたという。
買収後、NVIDIAはRun:aiの技術を全面的にオープンソース化し、自社GPUを購入すれば無料で使えるようにした。これは、同社がAIチップ市場で圧倒的な支配力を持ち、製品とソフトのエコシステムによる“垂直統合”を強めるためとされる。
一方、中国にとって現在必要なのは、NVIDIAへの過度な依存を避け、先端プロセスが制限される状況下でも「システムで単点を補う」「ソフトでハードの弱点を補う」ことでAI産業を支えることだ。
華為は今年、すでに複数の技術を投入しており、たとえば「昇騰384スーパーノード」は通信・ストレージ・基盤ソフトの強みを総動員し、接続ボトルネックを突破して算力規模を拡大。また、最近オープンソース化したUCM(Unified Cache Manager)技術は、異なるメモリ媒体の特性を最大限活用し、高価なHBM(高帯域幅メモリ)への依存を低減しつつコストを抑える狙いがある。
AIは高度に複雑なシステム工学であり、算力はその中でも特にコストの大きい要素だ。先端チップの制約が続く中国において、華為が発表する新技術が算力利用効率をどこまで高めるのか、業界の注目が集まっている。



