サムスン、2nmで3割値下げ = NVIDIA・クアルコム・テスラの受注狙う

半導体が2ナノメートル(nm)世代に突入する中、業界からはサムスンが2nmプロセスの製造価格を1枚あたり2万米ドル(約297万6000円)と提示したとの情報が流れている。これは、台湾積体電路製造(TSMC、台積電)の3万米ドルに比べて33%安い水準で、実質6~7割の価格設定で顧客を奪いに行く戦略だとみられる。ターゲットには米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)、Qualcomm(クアルコム)、米電気自動車(EV)大手のTesla(テスラ)といった大手企業が含まれている。

サムスンはこの値下げ報道について公式にはコメントしていないが、業界ではTSMCが2nm量産開始を控えており、需要超過から値上げの可能性が取り沙汰される中、サムスンが逆に価格競争に打って出たとの見方が広がっている。

TSMCは今年下半期に予定通り2nmの量産を開始し、すでに米Apple(アップル)、Advanced Micro Devices(AMD、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)、聯発科技(MediaTek)、クアルコムといった大口顧客の受注を獲得している。一方、サムスンの2nmは現状、自社のスマートフォン用プロセッサに限られている。経済規模を拡大するため、サムスンは価格を下げて顧客を獲得し、TSMCのシェアを切り崩す狙いがある。

サムスンはすでにNVIDIAやクアルコムと接触し、2nmチップの性能評価や量産準備を進めている模様だ。顧客基盤を多様化し、歩留まりとコスト効率を改善することで、TSMCに迫ろうとしている。

同社は2025年下半期に第1世代2nm(SF2)を量産予定で、さらに第2世代2nm(SF2P)の開発を進めている。SF2Pでは性能が12%向上、消費電力25%削減、チップ面積は8%縮小するとされ、MBCFET(マルチブリッジチャネルFET)構造を採用する。2026年の量産を目指しており、すでにテスラと協力関係を構築した。

テスラは今年7月、サムスンと22兆8000億ウォン(約165億米ドル)規模の長期契約を締結。第2世代2nmプロセスを使って「AI6」を製造し、自動運転(FSD)やデータセンターに投入する計画だ。この案件は、サムスンが高速演算分野でTSMCに挑む試金石とされている。

さらに、サムスンは米国での2nm生産能力の整備も進めており、2026年末までに月産1.6万~1.7万枚規模に拡大する見通しだ。

一方、TSMCは25年下半期に予定通り2nmの量産を開始する方針で、量産曲線は3nmと同様に順調に進むとみられている。同社はさらに性能・省電力を強化したN2Pプロセスも発表し、スマートフォンや高速演算向けに26年下半期から量産を開始する計画だ。

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