米量子コンピューティング企業Infleqtion、1億ドルを調達

(Infleqtionのウェブサイトより)

米量子コンピューティング企業、Infleqtionは2日、1億米ドル(約143億5000万円)のベンチャー資金を調達し、政府向けサービス企業であるサイエンス・アプリケーションズ・インターナショナル・コーポレーション(SAIC)と提携して国防関連の事業を開始すると発表した。今回の資金調達には、Glynn Capital、モルガン・スタンレー傘下のCounterpoint Global、S32、SAICなどが参加している。

量子コンピューティングは、生命科学、化学、物理といった分野において、従来のコンピューターでは数千年かかるような難題を解決できる可能性を持つ技術として注目を集めており、MicroSoft(マイクロソフト)やGoogle(グーグル)を含む多数のテック企業やスタートアップが数億米ドル規模の投資を行っている。

多くの量子コンピューターは、超低温環境を必要とする特殊なチップを使用しており、そのために高価な冷却装置が必要とされる。一方、コロラド州ボルダーに本社を置くInfleqtionは異なるアプローチを採用。真空中に浮かせたルビジウム原子にレーザーを照射する技術を用い、室温で稼働可能な量子コンピューターの開発を目指している。

同社は2028年までに小型の量子コンピューターを完成させる計画だが、並行して他の用途にも技術を展開している。その一例として、極めて高精度な電子タイミング信号を軍事用途に提供しており、GPS信号が妨害されるような紛争地域での使用が想定されている。

InfleqtionのCEOであるマット・キンセラ氏によれば、同社の2024年の売上高は約3000万米ドルに達する見込みだという。また、同氏は「時間計測機器の中核となる量子技術の改良が、そのままコンピューターの開発に直結している」と語った。さらに同社は、政府系の契約企業とともに、現在はピザ箱3個分ほどのサイズである自社の量子技術デバイスを他分野に応用していく予定。将来的には大幅な小型化も見込まれている。

SAICベンチャーズの副社長でありマネージングパートナーを務めるマイケル・ハウザー氏は、この技術が軍事施設における多数のアンテナの代替となり得る可能性に言及。「現在のアンテナ群は互いに干渉するが、この新しいタイプのアンテナを使えば、そうした問題が解消されるかもしれない」と期待を示した。

Infleqtion Raises $100M to Scale Atom-Based Quantum Solutions for National Security and Next Generation Intelligent Systems

Infleqtion

Tags: , ,

関連記事