トランプ氏の半導体関税、3つのシナリオが浮上 最悪ケースは「関税率100%超え」

米ホワイトハウスが米国向けノートパソコンやスマートフォンなどの電子機器に対する「対等関税」の適用を一時保留する中、トランプ大統領は米東部時間4月14日に半導体関税の詳細を発表すると予告。これを受けて、半導体業界では緊張感が高まり、3つの主要な課税シナリオが浮上している。中でも最も厳しい案では、関税率が100%を超える可能性もあるとされ、台湾、韓国、さらには米国内の半導体メーカーにも大きな打撃となる恐れがある。経済日報が14日が伝えた。

3つのシラリオは以下の通り。

シナリオ(1)「大水槽モデル」:グローバル生産と米国生産の差を課税対象に

業界がまず予測するのは、いわゆる「大水槽モデル」。各国・企業が生産する世界全体の半導体量と米国内での生産量の差に基づいて関税を算出する方式で、トランプ政権が過去に採用した「相互関税」モデルに近い。

例えば、世界最大の半導体受託製造企業TSMC(台湾積体電路製造)は2023年に1600万枚超の12インチ換算ウエハーを生産。しかし、米アリゾナ州に建設中の同社工場の初期年産能力は50万枚未満にとどまる。この生産量の差が課税のベースとなる場合、税率は極めて高くなり、100%を超える可能性もあるという。

実際、トランプ氏は以前「TSMCが米国に工場を作らなければ、100%の関税を課す」と発言したことがあり、業界ではこの発言を「最も厳しい関税案の布石」と受け止めている。

シナリオ(2)「直接輸入課税」:米国へ輸入される半導体製品に関税

2つ目のシナリオは、米国へ直接輸入される半導体に対する関税の適用。このモデルは一見シンプルだが、実際には複雑なサプライチェーンが絡むため、直接輸入の比率が低い大手チップメーカーには影響が限定的になるとみられる。

その一方で、米国内で組立や統合を行う企業が直撃を受ける恐れがある。EMS(電子機器受託製造サービス)大手の鴻海(ホンハイ/Foxconn)や広達電脳(Quanta、さらには米国企業であるサーバー製造のSupermicroなども対象となり、「米国に工場を構えた企業が逆に罰せられる」という逆転現象が懸念されている。

シナリオ(3):「半導体を含む製品」に一律課税──スマホやPCなど広範囲に影響

3つ目の案は、半導体を含む最終製品に対して一律関税を課すモデル。対象となるのは、ノートPC、スマートフォン、サーバーなど、半導体が内蔵されたすべての電子製品。この方式の特徴は、影響範囲が極めて広い点だ。

ただし、製品に含まれる半導体の追跡や把握が非常に困難であるため、実行上の複雑さが最大の課題とされる。業界関係者は「現代のほぼすべての電子製品が対象になり得る」と警戒感を強めている。

第4シナリオの可能性も?現実路線を業界は期待

関係者の間では、上記3案以外の“第4の現実的シナリオ”の採用も密かに期待されている。例えば、例外措置や条件付き適用を設けることで、米国外の製造拠点にも配慮した形で関税を導入する案などだ。

業界では「トランプ氏はこれまでも大言壮語で注目を集めた後、実際の政策ではトーンダウンする傾向がある」と分析。「今回も“重く構えて、軽く処す”スタンスで収まることを望む」としているが、最終決定はあくまでトランプ氏の手中にある。

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