中国のファウンドリー、成熟品を大幅値下げか

台湾から中国へ製造委託先の切り替え相次ぐ

中国のファウンドリー(半導体製造受託)業界で、供給過剰を背景に、成熟プロセス製品を大幅に値下げする動きが広がっている。12インチウエハーの値下げ後の価格は、台湾のファウンドリーが設定する価格の6割程度にとどまるとされ、台湾のファブレス半導体メーカーの間で、製造委託先の中国への切り替えが相次いでいるという。

台湾の経済日報が伝えた。同新聞は台湾のファブレスメーカーの具体名は触れていないが、中芯国際集成電路製造(SMIC)、華虹半導体、合肥晶合集成電路といった中国のファウンドリーが続々と台湾で受注を獲得していると伝えている。これらの受注は、ドライバーIC、パワーマネージメント用IC、マイクロコントローラ(MCU)など成熟プロセス品が主だという。

業界関係者によると、成熟プロセス品は新型コロナウイルス流行期に需要が集中し、深刻な供給不足に陥ったが、現在は当時の売り手市場から買い手市場に逆転した。成熟プロセス品に対する需要が落ち込むなかでも、中国のファウンドリーは生産増強の動きを止めず、深刻な供給過剰をもたらした。

中国のファウンドリーによる今回の値下げは、40/45ナノメートル(nm)プロセス製品が最大。中でも12インチウエハーは台湾系ファウンドリーの相場の6割程度と、4割値下げされた。8インチウエハーも3四半期連続で値下げされ、値下げ幅は2~3割に達した。

台湾のファブレス半導体メーカーは、手元の在庫消化が進まないなかで、コスト削減を急いでおり、製造委託先を中国のファウンドリーに切り替え始めた。安徽省合肥市に本拠を置く中国のファウンドリー、合肥晶合集成電路は、ドライバーICとパワーマネージメント用ICの受注を大幅に取り戻したとされる。

聯華電子(UMC)や世界先進積体電路(バンガード・インターナショナル・セミコンダクター)を始めとする台湾のファウンドリーの設備稼働率は足元で7割を割り込んでいる。中国同業に顧客を奪われれば業績への影響は必至なだけに、業況好転は2025年下半期にずれ込みそうだ。

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