中国から東南アジアへの工場移転、トランプ氏返り咲きで加速か

中国から東南アジアへの工場移転の動きが続いている。米大統領への返り咲きを決めたドナルド・トランプ氏が再任後に中国からの輸入品に高額の関税を適用すれば、移転の勢いはさらに強まると予想される。

トランプ氏は大統領選の期間中に、中国からの輸入品に60%の関税を課すと約束している。これは1期目政権時に発動した7.5~25%よりもはるかに高い関税率だ。

米ロイター通信によると、タイで工業団地の開発を手がけるWHAグループのジャレエポーン・ハルコーンサクル最高経営責任者(CEO)によると、第1次トランプ政権時(2017~21年)も企業の東南アジア移転はみられたものの、第2次政権下の移転の規模はこれを大きく上回るとみられる。

米大統領選の期間中は、中国の顧客から同社への問い合わせの電話が殺到したという。現在は、タイとベトナムに展開する広さ1万2000ヘクタールの工業団地を管理する部門で、販売要員と中国語ができる人材を拡充しているという。

タイ同業のアマタの創業者で会長のビクロム・クロマディト氏は、同社が東南アジアで運営する工業団地に今年開設された90の工場のうち、およそ3分の2は中国から移転してきた企業だったと話した。

東南アジアの自動車製造拠点となっているタイでは、中国の自動車メーカーから電気自動車(EV)事業向けに約14億米ドル(約2183億円)の資金が投じられた。

またマレーシアでは、半導体業界団体が1000億米ドルの新規投資を呼び込むことを狙っており、世界的なサプライチェーン(供給網)再編がマレーシアにもたらすメリットに期待しているとされる。同国の製造業連盟を率いるソー・ティアン・ライ氏は「この再編でマレーシアは、米国やその他重要市場向けの輸出シェアを拡大する新たなチャンスを得られるだろう」と話した。

ベトナムにとり、米国は重要な輸出市場だ。今年1~9月のベトナムの対米貿易黒字は900億米ドルだった。ベトナムは現在、第2次トランプ政権下の政策変動に対応するための準備を進めているという。

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