米政府、中国への半導体規制の「抜け穴」を塞ぐ

新規則を発表

(米商務省産業安全保障局の官報より)

米商務省の産業安全保障局(BIS)は現地時間17日、中国の半導体チップと半導体製造装置に関する新たな輸出管理規則を発表した。チップの性能密度を制限項目に追加。マカオなど22の国も輸出規制の対象にし、第三国を迂回した調達を遮断する。

米国政府は2022年10月、中国への先端コンピューター向け高性能チップの輸出制限を導入しており、1年ぶりの改訂となる。新しい規則によると、輸出管理のエンティティー・リストに中国のGPU(画像処理半導体)開発の摩爾線程智能科技(北京)(Moore Threads)と上海壁仞科技(BIRENTECH、上海市)など13社を追加した。

輸出制限がかけられる半導体チップについては、「通信速度」の項目が削除され、代わりに「性能密度」に変更した。300テラフロップス(TFLOPS、浮動小数点演算を1秒間に1兆回の計算)を超えるデータセンター用チップの中国への販売は禁止される。 150~300テラフロップスで動作するチップも、その性能密度が1平方ミリメートル(mm)あたり370ギガフロップス(GFLOPS、浮動小数点演算を1秒間に10億回計算)を超える場合は販売が禁止される。

米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)はこれまで相互接続速度を低下させたGPUの「A800」「H800」を中国市場に供給することで制限を回避していたが、今回は制限を受けることになるとみられる。

■第三国経由の迂回調達を遮断

第三国を迂回した調達も制限する。新規則では半導体製造装置の輸出に関して、米国が武器の禁輸対象国としているイラン、ロシアなど21カ国対して新たに輸出許可の取得を課し、またそれらの国への輸出を禁止する装置のリストを拡大した。 中国が14ナノメートル(nm)以下の先端チップを製造する能力を制限することが目的だ。

先端チップの輸出についても米国政府の許可必要となる国・地域が40カ国以上に拡大された。 先進的なAIチップが他国から中国に持ち込まれるのを防ぐ狙いだ。

BISはまた、ゲームや電気自動車(EV)向けなど民生用チップの輸出を許可する例外規定も導入した。 ただ出荷の可視性を高め、これらのチップが悪用されて米国の国家安全保障が損なわれるのを防ぐことを目的として、少数のハイエンド・ゲーム用チップについては依然として届出義務が設けられた。

新規則は発表から30日以内に発効する予定だ。

ジナ・レモンド米国商務長官は同日の声明で、「新たな措置は、(中国の)防衛用途に不可欠なAIや高度なコンピュータの飛躍的進歩につながる先進半導体への中国のアクセスを制限することが目的だ。規制の有効性を高め、規制を回避する経路をさらに遮断する。今後は少なくとも毎年更新してく計画だ」と述べた。

これに対し中国商務省の広報官は18日、「強烈な不満と断固とした反対」を表明した。

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