中国で進む車載チップ国産化、外部依存引き下げ

蔚来汽車(NIO)が自主開発したLiDARマスターコントロールチップ「楊戩」(同社リリースより)

中国で車載チップの国産化が進んでいる。多くの自動車メーカーと半導体メーカーが自社開発チップを続々と発表しており、自動車業界の当面のチップ不足問題は解消に向かいそうだ。経済観察報が6日伝えた。

民営自動車メーカーの吉利汽車傘下の高級車ブランド「領克(Lynk&Co)」が9月初旬に投入したプラグインハイブリッド(PHV)のミッドサイズSUV(スポーツ多目的車)「領克08」は、車載チップ開発を手掛ける湖北芯擎科技(Siengine)の車載チップ「龍鷹一号」を2つ組み込んだ。

芯擎科技は、吉利汽車の親会社、吉利控股傘下の億咖通科技と英半導体開発大手ARM(アーム)の中国合弁会社、安謀科技(アーム・チャイナ)の共同出資で設立された。同社が2021年末に発表した「龍鷹一号」は、回路線幅が7ナノ(ナノは10億分の1)メートルの最先端技術を採用した自動車スマートコックピット向け車載チップ。性能や技術規格はクアルコムの車載向けチップ「Snapdragon8155」と匹敵する。

中国の新興電気自動車(EV)メーカー、蔚来汽車(NIO)もまもなく、自主開発チップの量産に乗り出す。同社は9月21日、7ナノメートルプロセスを採用した自動車向け高性能センサー「LiDAR(ライダー)」マスターコントロールチップ「楊戩」を発表した。10月に量産を開始する。

深度科技研究院の張孝栄・院長は、「中国企業にとり、ハイエンド車載チップの開発・製造技術の掌握は、製品競争力の向上、およびチップ調達の外部依存度の引き下げにおいて重要な意義を持つ」と指摘した。

車載チップは構造的な不足が世界的に続いており、中国企業が足元の需要拡大期を好機と見なし、チップ開発と関連サプライチェーン構築を進めれば、巨大なポテンシャルを擁する車載チップ市場で存在感を増すこともできよう。

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