車載センサー業界変化、「LiDAR撤退、4Dミリ波レーダー混戦」
自動運転の中核部品の一つであるレーザーセンサーの分野で、世界の自動部品大手が高性能センサー「LiDAR(ライダー)」から手を引き、車載用4D(四次元)ミリ波レーダーに照準を合わせる動きが加速している。すでに数十社が参入する混戦状態にある。
集微網が8日伝えた。4Dミリ波レーダーは従来のミリ波レーダーの進化版で、距離、速度、水平方向の角度に垂直方向の角度を加えた4次元でデータを解析できるのが特徴だ。分解能が急速に高まったことで、検知能力が一段と強化される一方で、コストはLiDARの5分の1に抑えられる。
LiDAR業界は、高度自動運転の実用化の見通しが不透明ななか、巨額の研究開発投資を回収できない状況が続いており、昨年以降、破産、合併、撤退の動きが頻発した。こうしたなか、大手企業もLiDAR自社開発から手を引き、経営資源をコスト、精度面でLiDARを上回る4Dミリ波レーダーに振り向けつつある。
独自動車部品大手のZFフリードリヒスハーフェンは、4Dミリ波レーダーの量産を開始するとともに、2022年にLiDARの開発・生産から撤退した。独メディアの最近の報道によると、ボッシュもすでに車載LiDARの開発から完全撤退し、4Dミリ波レーダーを含むその他レーザーの開発に注力する方針を固めた。
一方、4Dミリ波レーダーの開発を手掛ける中国スタートアップの傲図科技は8月中旬、シードラウンドで数百万ドル規模を調達したと発表し、LiDAR上場企業の禾賽科技の創始者である李一帆最高経営責任者(CEO)が個人名義で出資を行ったことが注目を集めた。
独コンチネンタルが4Dイメージングレーダーの世界初量産モデルとなる「ARS540」を発表して以降、4Dミリ波レーダー分野に参入する自動部品サプライヤーは数十社を数える。この中には、徳賽西威、楚航科技、森思泰克、華域汽車といった中国企業も含まれる。
もっとも中国企業は、半導体チップの供給源確保が直近の課題だ。華泰証券によると、車載ミリ波レーダーのうち、MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)やソフトウエアアルゴリズムといった中核部品は海外企業から供給を受けている。