滴滴、スマートEVで小鵬汽車と提携 自社開発を断念
中国のライドシェア大手の滴滴出行(DiDi、北京市)は28日、電気自動車(EV)メーカーの小鵬汽車(シャオペン、広東省広州市)と共同でスマートEV開発に取り組むと発表した。滴滴は、社内コードネーム「達芬奇(ダ・ヴィンチ)」としていた自社のEV部門を近く閉鎖するとみられ、EVの自社開発からは撤退する。
小鵬汽車の発表によると、資本レベルでは、小鵬汽車は今回の総株式資本の3.25%に相当するA種普通株式を発行し、滴滴出行のスマートEV事業に関連する資産と研究開発(R&D)能力を買収する。滴滴出行は小鵬汽車の戦略的株主となる。 今回の買収による対価は最大で58億3,500万香港ドル(約1,091億1,500万円)に上る見通しだ。
小鵬汽車は滴滴との提携の一環として、新ブランド「MONA」を立ち上げ、同ブランドの下で、自動運転技術を搭載したAクラスモデルのスマートEVを発売する。「MONA」のファーストモデルは今年第4四半期に販売価格15万元(約301万円)程度で一般向けとライドシェア事業者向けに発売する。
EV事業の損失を一刻も早く止めたい一方で、スマートEV事業の果実を完全には手放したくない滴滴と、自動運転技術の進歩に向けて大規模実証が必要な小鵬汽車の思惑が一致した。
騰訊網によると、滴滴の創業者で最高経営責任者(CEO)の程維氏がEV事業の投資利益率(ROI)は高くないと判断し、事業の売却を決めたとされる。滴滴は今後、ブランド、営業、アフターマーケットなどEV関連のすべての部門を解散し、自社でのEV製造・販売から完全撤退する。
一方、小鵬汽車の関係者によると、同社の共同創業者である何小鵬CEOは、ライドシェアサービスの見通しを非常に好感している。今回の提携では、小鵬が開発・量産したスマートEVを滴滴のライドシェアサービスに投入するという分業体制を採ることで、2社の事業リソースを最大限に引き出す狙いという。