中国企業の東南アジア向け投資熱冷めず、フィンテック、物流、AIなどVCが有望視

インドネシアの首都ジャカルタ

2022年3月から数度にわたる米利上げを背景に一服感がみられた中国企業による対東南アジア投資について、中国のニュースアプリ「虎嗅」は24日、「東南アジアの投資熱はまだ冷めていない」とする記事を掲載した。

東南アジアを本拠とするベンチャーキャピタル(VC)「ATM Capital」の梁民俊・共創パートナーは東南アジア市場について、「消費財業界が発展の黄金期にあるが、優良企業の数は少なく、創業・投資のチャンスが存在する」と指摘。金融サービスと情報技術を結びつけたフィンテック、物流、人工知能(AI)などの領域も投資機関の注目を集めているとし、「中国と比較して、東南アジアは資金を調達しやすい」と補足した。

梁氏はまた、「東南アジア市場は(発展の)スタート段階を迎えたばかりで、この時期においては、ベテランのLP投資家(ファンドへの出資を通じたベンチャー投資)は、DPIなど投資先ベンチャーキャピタルの中間評価指標をさほど重視しない」と説明した。

業界関係者によれば、東南アジアでの投資は中国と比較して、自分の行った投資から手を引くための“出口ルート”がより多様であるというメリットもある。複雑な米中関係など政治的な影響で、海外に上場したり、海外企業に吸収合併されたりするためのハードルが高い中国企業と比較して、東南アジア企業は、米国をはじめとする海外上場が容易である上、各国の大手企業が東南アジア市場を重視するなかで、合併・買収の対象となる機会は今後も増えていくと予想される。

PitchBookの統計によると、2022年に東南アジアのスタートアップ企業に流入した投資マネーは同年9月末時点で114億米ドル(2,273億円)となり、21年より前のすべての通年規模を上回った。またシンガポール金融当局の統計によれば、22年に同国に流入した資金はネットベースで2兆3,000億元(約45兆8,600億円)に達した。一時は銀行の貯蓄能力を超える規模のホットマネーが押し寄せたとされる。

越海資本によると、23年4~6月にシンガポールで取引されたベンチャー投資は141件、投資額は18億5,000万米ドルだった。インドネシアは同37件、2億3,000万米ドルで、同2カ国でこの期に東南アジアで行われたベンチャー投資の75%を占めた。

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