中国ロボット業界、2020年の注目10人
中国ロボット専門サイトのOFWEEKは3日、2020年の中国ロボット業界で最も注目された10人を発表した。新型コロナウイルス感染拡大で、衛生用品がひっ迫する中、マスクが大量生産できる自動化設備を開発した広東拓斯達科技の吴豊礼総裁などの名前を挙げた。
拓斯達は、広州市を拠点とする新興の工業ロボットメーカー。同社は昨年、マスクを自動生産する設備「口罩機」を製造販売。純利益も前年同期比167%-194%増加し、上場企業の中で最も純利益が増加したロボットメーカーとなった。海外進出も果たし、上半期だけで1億5,000万米ドル(約157億7,000万円)を売り上げている。
2.深セン市大族機器人 王光能(総経理)
大族機器人は、中国のレーザー機器メーカーの大族激光科技産業集団が17年に設立した子会社。王氏は、広東省仏山市にロボット工場「順徳区機器人産業園」を設け、作業支援協働ロボットやロボットのコア部品の生産に着手。20年には、工業や医療、物流、サービス分野向けのロボットの研究開発(R&D)を掲げ、蘇州藤信創業投資合ホウ(ホウはにんべんに火)などから1億6,500万元(約26億8,500万円)を調達した。
3.微創医療機器人 孫洪斌(創業者)
低侵襲手術ロボットを開発する微創医療機器人は、上海微創医療機器集団の完全子会社として15年に設立された。立体腹腔鏡の「蜻蜓眼(DFVISION)」や関節置換手術ロボット「鴻鵠(SKYWALKE)」などが、国家薬品監督管理局創新医療器機の認証を取得している。20年8月には30億元の巨大融資を獲得し、注目された。
4.庫カ(カは上に下、KUKA)中国区 王輝(CEO)
王氏は20年7月に庫カ中国区の最高経営責任者(CEO)に就任して以来、同社の中国内顧客向けの部品供給率を大幅に増加させた。同年10月には、「KR 4 AGILTS」や「KR SCARA」など相次いで4つのロボット新製品を市場に投入している。
5.上海新時達電気 紀徳法(党委員書記、CEO)
上海新時達電気は20年12月までに年産数万台に達するロボット生産工場を上海市内で稼働させた。
6.新松機器人 曲道クイ(クイは大のしたに圭、副董事長、CEO)
曲氏の強力な指導力の下、新松機器人を世界でも有数の各種ロボット製品を持つ企業に成長させた。半導体設備分野にも参入し、クリーンロボットや真空ハンドロボットなどの販売も開始している。医療用配送ロボット「SL-MB1-A」、多機能レストランサービスロボット「SRYC 1402 C」、介護用のスマートケアベッド「SL-MB 1-A」などの製品に持つ。
7.深セン科衛機器人科技 何英(CEO)
何氏は複数の大手上場メーカーに勤めた豊富な経験を持ち、人工知能(AI)製品の産業化や実用化に長期的に取り組んでいる。ロボットのレンタルを仲介するウェブサイト「haorobot.com」を通じて人材育成やロボット製品の応用化、業界交流にも尽力している。
8.配天機器人技術 索利洋(総経理)
配天機器人のロボットは、3から165キログラムまでの範囲の荷重が可能で、現在700件以上の特許(200件以上の発明特許を含む)と、40件以上のソフトウェア著作権を持っている。20年に発売した「新型AIR 7 L-B」は、IP67(国際電気標準会議が定める6と7等級の防水性能)の認証を取得している。
9.深セン市優必選科技 周剣(創業者、CEO)
優必選は20年、感染防護に使われるロボットを3つ開発した。深セン市第三人民医院、武漢市中心病院などの現場でも活用されている。ベルギーや日本、韓国、ルワンダなどの国々にも輸出されている。
10.南京埃斯頓自動化 吴波(董事長)
埃斯頓は19年8月、ドイツの溶接ロボットメーカー大手CLOOSの北京子会社を買収し、溶接ロボット技術を獲得。多軸制御装置「デュアルコア二輪駆動」の開発に成功したほか、中核技術や部品などの自前主義を追求する「ALL MADE BY ESTUN」政策を掲げている。20年の純利益は前年比85%-135%増となり、上場以来最高の業績を達成した。