アリババ達摩院が再編、自動運転実験室を物流企業「菜鳥」に組み入れ
中国の電子商取引(EC)大手、阿里巴巴(浙江省杭州市、アリババ)の先端技術研究機関、アリババDAMOアカデミー(達摩院)が大規模な組織再編を行う。これにより、傘下の自動運転実験室は、アリババ傘下の物流企業「菜鳥網絡(Cainiao Network)」に組み入れられる可能性が出てきた。アリババ関係者の話として、時代周報など中国各紙が伝えた。
達摩院が開発を進めてきた無人物流車は、菜鳥に端を発する。菜鳥は2015年末に菜鳥ET実験室を立ち上げ、人の代わりに荷物を届ける無人配送車の開発に着手。2022年に自律型配送ロボット「小蛮驢」を発表した。菜鳥のET実験室に始まり、達摩院の自動運転実験室へと成長したアリババの無人物流車プロジェクトは、結局、菜鳥に回帰することになる。
この再編をめぐっては、アリババの自動運転技術が実験室の段階から実際の段階に移行するといった前向きな受け止め方がある一方で、阿里巴巴のコスト負担削減が絡んでいるとのとの見方もある。
アリババの2022年10~12月期決算は、スマートスピーカーの「天猫精霊」部門や達摩院を含む「イノベーション及びその他」事業の売上高が前年同期比20%減の8億2,300万元(約161億2,200万円)、調整後EBITDAは12億3,500万元の赤字だった。
深度科技研究院の張孝栄院長は、「アリババの近年の経営戦略は保守的な傾向にある。企業が短期的な業績圧力の緩和をより重視するようになり、事業運営の効率化に迫られて、先端技術に対する長期的な資金投入を削減するようになれば、企業の長期的発展に深いダメージとなりかねない」と警鐘を鳴らした。