中国へのAI半導体出荷を停止、米当局がTSMCに命令
米商務省は半導体受託生産(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に対し、AI(人工知能)向けに使われる先端半導体の中国顧客向けの出荷を11日から停止するよう命じた。
米ロイターが9日、事情に詳しい関係者の話として明らかにしたところによると、商務省は、AIアクセラレーターや画像処理半導体(GPU)に使われる回路線幅7ナノメートル(nm)以下の先端半導体の中国向け輸出に制限を課す公文書をTSMCに送った。この公文書は、特定の企業に新しい許可条件を速やかに課す文書で、米国の複雑な規定制定過程を迂回できるという。
英フィナンシャルタイムズも3人の事情筋の話として類似の内容を伝えた。それによると、3人のうち2人は、TSMCが将来的に中国の顧客に供給するいかなる半導体についても、米国の許可を得なければならなくなると述べた。
一連の報道に対し、商務省はコメントを控えた。TSMCの広報担当は「TSMCは法を順守する企業で、輸出規制を含め適用される全ての規則と規制の順守にコミットしている」と述べるにとどめた。
フィナンシャルタイムズは、米国の今回の措置は、中国テック大手の技術投資を一段と後押しするとの見方を報じた。中国企業はすでにAIとクラウドサービス向け半導体開発に多額の資金を投入している。
TSMCは半導体の受託生産で世界シェア6割超を占める。香港の有力英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、TSMCの今年第3四半期の売上高は、中国顧客の比率が11%、米国顧客の比率が71%だった。