AIチップ・寒武紀の株価急騰、ChatGPTブームの余波で
中国の人工智能(AI)チップメーカーの中科寒武紀科技(カンブリコン・テクノロジーズ、北京市)の株価が急騰している。対話型AI「ChatGPT」の大ブレイクを端緒としたAIブームの波に乗り、昨年末時点で55元(約1,048円)に満たなかった株価は、わずか3カ月足らずで186.39元と241.6%上昇した。
同社が2月に発表した2022年業績速報は、売上高が前年とほぼ横ばい。最終損失は11億7,000万元となって、前年の8億2,500万元から41.4%拡大した。
当面は研究開発投資が先行しており、同社の研究開発費は2019~21年の3年間で年間平均44.6%のハイペースで増えた。研究開発(R&D)費の多くを研究開発人員の給与に充てており、研究開発人員とその給与水準はハイペースで増加・上昇。同社は、ハイエンド人材の争奪戦の激化が、研究人員の給与水準上昇につながったと説明している。
売上高に占める研究開発費の割合を示す売上高研究開発費率は、2019年が122%、20年が167%、21年が157%で推移した。同期の上場半導体設計会社の同比率(中間値)は、17.26%、17.76%、16.38%。世界の半導体大手と比較しても、21年通期業績の同比率はインテルが19.22%、AMDが17.31%、エヌビディアが19.57%となっており、寒武紀科技はずば抜けて高い。
もっとも同社は昨年末、米国の事実上の禁輸リストである「エンティティ・リスト」に追加された。商品在庫の積み増しや、地方の財政問題を背景とした売掛金回収難にも直面しており、一部の投資ファンドは株価上昇を機に利益確定売りに動き、同社株の持ち株を減らしている。