中国国家級半導体向けファンド、初めて具身知能に投資
銀河通用が25億元を追加調達

中国のヒューマノイド分野で最大規模の資金調達が再び実現した。関係者によれば、ヒューマノイドロボット開発を手掛ける北京銀河通用機械人(GALBOT、北京市)は新たに25億元(約570億円)の資金調達を完了した。中国国家級半導体向けファンド「国家大基金」などが投資した。
今回の投資には、国家大基金のほか、中国石化、中信集団、中国银行、上汽集団、中芯聚源、亦庄国投、未来産業投資、鯤鵬基金、無錫創投、福建産投などが出資した。国家大基金が具身知能企業へ出資するのは今回が初めて。同ラウンド後、累計調達額は中国具身知能分野で首位を維持し、未上場のヒューマノイド企業として最高評価額の地位を固めた。
銀河通用はわずか2カ月前の2025年12月19日にも、3億ドル超(約471億円)を調達し、当時の中国具身知能分野における単回融資記録を更新していた。短期間での連続調達は典型的なオーバーサブスクリプションとされ、市場の期待の高さを示す。
同社は2023年5月設立。創業者兼最高技術責任者(CTO)の王鶴氏は清華大学卒、米スタンフォード大学で博士号を取得し、米国科学院会員レオニダス・J・ギバス教授に師事。帰国後、中国初の具身知能(Embodied Intelligence、身体を持ったAI)専門の実験室を立ち上げた。
創業3年足らずで評価額トップを走る背景には、同社が定義する「具身知能AIモデル」路線がある。業界が「大脳(計画)」「小脳(運動制御)」「手(巧緻操作)」を分離開発する中、銀河通用はEnd-to-End(E2E、エンドツーエンド)統合を選択。
中国中央広播電視台(CCTV)が2月16日、春節(旧正月)の大晦日の特別番組「春晚」で披露した「銀河星脳(AstraBrain)」は大脳・小脳・神経制御を一体化した全身全手エンドツーエンドモデルで、マルチモーダル認知からリアルタイム制御までを貫通する。仮想空間で膨大な試行錯誤を重ね、物理世界の相互作用法則を学習する設計だ。
さらに同社は世界最大級とされる100億級データセットを構築し、「AstraSynth」による合成データ主体・実機データ補完の融合訓練方式を確立。少数ショットやゼロショットで新環境に適応する汎化能力を実現し、実機訓練効率は特斯拉比で1000倍とされる。
2026年1月には最大50キロ可搬の産業用重負荷ロボット「Galbot S1」を発表し、中国車載電池大手の寧徳時代(CATL)の電池工場で正式ラインに組み込まれ稼働していると報じられる。
同社は独Bosch(ボッシュ)、トヨタ自動車、北汽集団、上汽集団などとも協業し、累計受注は数千台規模に達するという。消費分野でも無人コンビニ「銀河太空艙」やスマート薬局を展開し、医療では宣武医院、華西医院と連携している。
具身知能分野への資金流入は続くが、資本は次第に少数の有力企業へ集中している。王氏は「3年以内に1万台のヒューマノイドが完全自律で働く姿を見せたい」と語る。累計45億元の資金を手に、同社は新たな成長段階へ踏み出した形だ。



