EU、「高リスク供給業者」設備の強制排除へ

欧州連合(EU)の欧州委員会は現地時間20日、「EUサイバーセキュリティ法(Cybersecurity Act)」の改正草案を公表し、通信、エネルギー、医療など複数の重要分野において、「高リスク供給業者」と認定されたICT(情報通信技術)機器および部品を段階的に強制排除する方針を打ち出した。華為技術(ファーウェイ)など中国企業などが念頭にあるとみられる。
欧州委員会によると、今回の改正案は、これまで任意の指針とされてきたサプライチェーン安全管理の「ツールボックス」を法制化し、強制的な執行対象に格上げするものだ。分野横断的に第三国サプライヤーへの依存を減らし、安全リスクや潜在的な外部リスクを低減することが目的とされている。
草案では特定の国や企業名は明示されていないものの、業界関係者の間では、華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)など、中国のテクノロジー企業に実質的な影響が及ぶとの見方が広がっている。
今回の改正案は適用範囲の大幅な拡大も特徴だ。従来の5G(第5世代移動通信システム)ネットワークに限らず、ハードウェアからソフトウェア、さらには一部のAIモデルにまで対象が広がる。対象産業は、通信ネットワーク、クラウドサービス、医療機器、監視機器、半導体、上下水道、電力供給・蓄電システム、ドローンおよび対ドローンシステム、コネクテッドカーや自動運転車両など、計18の重要分野に及ぶ。
草案では、「高リスク供給業者」リスト公表後、移動体通信事業者は36カ月以内にネットワーク中の主要部品を段階的に撤去することが求められる。固定通信網や光ファイバー、海底ケーブル、衛星ネットワークについては、具体的な期限が別途定められる予定だ。
公式文書は慎重な表現を用いているものの、ロイター通信やAP通信などは、この提案が主に中国系設備メーカー、とりわけ華為に影響を及ぼすとの見方を示している。近年、欧州では対中技術審査が強化されており、ドイツは6G通信網で中国製部品を使用しない方針を決定している。米国も2022年にファーウェイとZTEの新規通信機器承認を禁止し、欧州の同盟国に同様の対応を求めてきた。
中国外交部が反発
これに対し、21日の定例記者会見で中国外交部の郭嘉昆報道官は、「関連報道に重大な懸念を表明する」と述べた上で、「中国企業は長年にわたり欧州で法令を順守して事業を展開しており、欧州の国家安全を脅かしたことは一度もない。むしろ欧州の通信およびデジタル産業の発展を力強く後押しし、質の高い製品とサービスを提供してきた」と強調。中国製通信設備の強制撤去により、巨額の経済損失が生じ、現地のデジタルネットワーク産業の発展が深刻に阻害された事例もあると述べた。



