中国メモリ最大手の長江存儲、IPOへ準備

テクノロジー分野で最大規模の可能性

(長江存儲科技の微信より)

中国半導体メモリ大手の長江存儲科技(YMTC、湖北省武漢市)が、中国本土での新規株式公開(IPO)を準備しているもようだ。企業評価額は1,600億~3,000億元(約3兆4000億~6兆4000億円)に達する見通しで、実現すれば近年の中国テクノロジー分野における最大規模の上場案件となる可能性がある。

澎湃新聞などが伝えた。同社の親会社である長江存儲控股股フンは、今年9月に株式制改革を完了。国有資本、金融資本、民間資本、従業員持株プラットフォームを中核とする多様な株主構成を形成し、上場への基盤を固めた。

報道によると、長江存儲はすでに中金公司(CICC)などと連携し、IPOに向けた具体的な準備を進めている。上場は早ければ今年末から2026年にかけて開始される見込みで、上場先は上海科創板または深セン創業板が有力視されているが、最終的な時期や市場はまだ確定していない。

長江存储は中国大陸で唯一3D NANDフラッシュメモリの完全な産業チェーン能力を有するIDM(設計製造一体化)企業だ。同社のコア技術は独自開発の「晶栈®Xtacking®」アーキテクチャであり、ウエハーボンディング技術により記憶素子と周辺回路の独立設計を実現し、チップ性能と生産能力を大幅に向上させている。25年8月に発表した「Xtacking®4.0」アーキテクチャは単一ダイ容量が2Tbを突破しており、AIサーバーやデータセンターなどのハイエンドシーンの需要を満たすことができるとされる。

25年までに、同社は12インチウエハー工場を3棟建設し、月産能力は8万枚を超えた。世界市場シェアは2020年の1%未満から2025年第1四半期には8%に急伸し、27年には15%を突破する見込みだ。製品ラインはコンシューマー向けSSDからエンタープライズ向けストレージアレイまでをカバーし、傘下ブランドのZhiTai(致态)は国内SSD市場で15%のシェアを獲得、国産代替のベンチマークとなっている。

HBMへも事業拡大か

一方、海外メディアの報道によると、長江存储(YMTC)はAI需要の急増により需要が高まっているHBM(高帯域幅メモリ)分野への事業拡大を検討しているとされる。従来のNANDフラッシュメモリからDRAM分野、特に高帯域幅メモリへの事業拡大を検討しているという。

関係者によると、長江存储は湖北省武漢市に建設中の新半導体生産施設の一部をDRAM生産ラインに充てることを検討中だ。また、同社は今月初めに武漢市で資本金207億元の新子会社を設立しており、同新会社がHBMの生産拠点になるとみられている。

業界関係者は、今回のIPOが成功すれば、中国の半導体サプライチェーンにおける自主性の強化と、国産メモリチップの市場シェア拡大を大きく後押しするだろうと分析している。

长江存储推出128层QLC闪存,单颗容量达1.33Tb

长江存储

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