インテル、初の「18Aプロセス」チップを発表 年内出荷開始へ

(インテルの発表より)

米半導体大手のIntel(インテル)は現地時間9日、新世代クライアント向けプロセッサ「Intel Core Ultra series 3(インテル・コア・ウルトラ第3世代)」の詳細を発表した。開発コードネームは「Panther Lake(パンサー・レイク)」で、同社として初めて最新の「Intel 18A」プロセスを採用した製品となる。年末までに出荷を開始する予定だ。

インテルのLip-Bu Tan(リップ・ブー・タン、陳立武)氏は、発表会でPanther Lakeシリーズのウエハーを手にしながら登壇した。

Intel 18Aは、インテルが独自開発した2ナノメートル(nm)世代の製造プロセスで、前世代の「Intel 3」と比べて消費電力あたりの性能を最大15%向上、チップ密度も約30%高まるという。開発・検証は米オレゴン州の拠点で完了し、すでに早期生産段階に入っており、現在はアリゾナ州の新工場で量産準備が進む。現時点では、同プロセスはインテル自社製品向けに使用されており、外部顧客からの受託生産(ファウンドリー)案件はまだない。

発表によると、インテル・コア・ウルトラ(第3世代)はIntel 18Aを用いた初のクライアント向けシステム・オン・チップ(SoC)で、AI (人工知能)PC、ゲーミングデバイス、エッジコンピューティングなど幅広い分野に高い演算能力を提供する。

Panther Lakeは拡張可能なマルチチップレット(multi-chiplet)アーキテクチャを採用し、製品形状や価格帯に応じた柔軟な構成が可能。最大16基の新設計Pコア(高性能コア)とEコア(高効率コア)を搭載し、前世代比で最大50%の性能向上を実現する。また、新しいIntel Arc GPUは最大12基のXeコアを備え、グラフィックス性能も前世代比で50%以上向上。AI処理性能は最大180 TOPS(毎秒180兆回演算)に達し、AIアクセラレーション性能が飛躍的に強化された。

さらに、同製品はPCだけでなく、ロボットなどのエッジ分野にも展開される予定。新たに発表されたソフトウェアスイート「Intel Robotics AI」と開発用リファレンスボードにより、開発者は高性能AIロボットを短期間で設計可能となる。Panther Lakeチップは制御処理とAI・センシング機能を同時に実現する。

Panther Lakeは年内に量産を開始し、初期モデルは2025年末までに出荷される見通し。26年1月には広範な市場投入が計画されている。

インテルはまた、同じくIntel 18Aを採用したサーバー向けプロセッサ「Intel® Xeon® 6+(インテル・ゼオン 6+)(コードネーム:Clearwater Forest)」の概要も先行公開。26年前半の発売を予定している。同製品は大規模データセンターやクラウド事業者、通信事業者向けに設計され、エネルギー効率を大幅に高めつつ、AIやクラウド処理の高度化を支援する。

Panther LakeとClearwater Forestを含む複数のIntel 18A世代製品は、アリゾナ州チャンドラーにある新鋭工場「Fab 52」で製造される。

ゲルシンガーCEOは、「最先端のプロセス技術、製造能力、先進パッケージング技術を組み合わせることで、新しい計算プラットフォームはインテル全事業の革新を加速させる触媒となる」と述べ、「これが“新しいインテル”の始まりだ」と強調した。

Intel Unveils Panther Lake Architecture: First AI PC Platform Built on 18A

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