トランプ米大統領、輸入半導体に100%関税を表明

トランプ米大統領は現地時間6日、米国に輸入される半導体およびチップに対して100%の関税を課すと表明した。政策は、米国内に製造拠点を構える企業には適用されないとしているが、その詳細については不透明なままで、業界全体に衝撃が広がっている。

米Apple(アップル)のティム・クック最高経営責任者(CEO)と共にホワイトハウスの大統領執務室で、同社による1000億米ドル(約14兆7500億円)規模の追加投資計画を発表した際に発言した。

半導体産業は、年間市場規模が6,000億米ドル(約88兆3620億円)を超えるデジタル経済の中核を担う分野だが、トランプ氏の発言は具体的な実施方法や範囲に言及しておらず、今後の業界への影響も見通しが立っていない。

企業が関税免除を受けるために米国内でどの程度の製造工程を行う必要があるかが、業界関係者や投資家にとって最大の関心事となっている。米国政府はここ数年、サプライチェーンを国内に呼び戻す取り組みを進めており、2020年以降、台湾の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)や韓国サムスン電子など主要な半導体企業が米国内への数百億米ドル規模の投資を発表している。

業界関係者は、これら主要企業の多くが関税免除を受ける可能性が高いとの見方を示しており、そうなれば大手メーカーの市場支配力がさらに強まると指摘する。実際、トランプ氏の発言を受けてTSMCやサムスンの株価は上昇した。

また、韓国のサムスンおよびSKハイニックスも米国内に工場を持っているため、韓国の貿易特使が関税免除を明言したことで、両社の株価も上昇した。

一方で、今回の関税案における多くの点は依然として曖昧なままだ。米国に輸入される半導体の多くはスマートフォンやパソコン、車両などの最終製品の一部であり、単体での輸入ではない。24年に米国が輸入した半導体の総額は463億米ドルで、全輸入の約1%に過ぎなかった。

こうした消費財に含まれる半導体に関税をかける場合はコントロール可能だが、それを超えて広範囲に適用される場合は対応が難しくなる。ある専門家は「今回の関税方針は、素材としての半導体を指しているのか、あるいは最終製品にも関税をかけるのか、その中間の部品にも適用されるのか、明確ではない」と疑問を呈している。

米商務省が今年4月1日、国家安全保障上の理由で半導体の輸入調査を開始し、翌日にはトランプ政権の「相互関税」方針から半導体産業が除外されたが、その文言には幅広い関税適用の可能性が残されている。また、チップ製造に使われる素材や装置が関税の対象となるかも現時点では不明だ。

半導体のサプライチェーンは極めて複雑で相互依存的であり、関税政策の策定は困難を極める可能性がある。例えば、米半導体大手のQualcomm(クアルコム)がTSMCで設計通りに製造したチップを米国に輸入している場合、TSMCは米国に工場を建てているから関税が免除されるのかどうかも不明だ。

大手クラウドサービス企業であるAmazon(アマゾン)AWS(Amazon Web Services)やGoogle(グーグル)も半導体の主要なユーザーで、AI(人工知能)や大規模データ処理といった技術を支える重要な存在となっている。ITIFの報告書によれば、こうした下流産業を支える半導体は、年間7兆米ドル規模の経済活動に貢献しているとされ、半導体関税の影響が懸念される。

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