ASMLのEUV露光装置、米国で関税免除へ

オランダの半導体製造装置大手ASMLはこのほど、次世代高開口数(High-NA)EUV露光装置「EXE:5200」の出荷を発表したが、この発表と時を同じくして、米国と欧州委員会の間で締結された最新の貿易協定では、欧州から米国へ輸出される製品に15%の関税を課す一方で、半導体製造装置などの特定品目はゼロ関税の対象となる見通しと報じられている。これにより、ASMLの装置は米国市場でのコスト上昇を免れることになるとみられている。
米メディアのTom’s Hardwareの報道によると、もしASML製品に15%の関税が課された場合、DUV(深紫外線)露光装置1台あたりのコストは約1,300万米ドル(約19億1750万円)、EUV露光装置1台では最大4,000万米ドルの追加コストとなり、米Intel(インテル)や韓国サムスン、TSMC(台積電)など主要企業の負担が大幅に増加、ひいては米国の半導体製造競争力に大きな打撃を与えることになるという。
ASMLのHigh-NA EUV装置「EXE:5200」の初期顧客にはインテルが名を連ねており、同社の14Aプロセスノードでの活用が予定されている。一方で、TSMCはこの技術の導入をA14ノード世代では見送る可能性が出ているほか、韓国サムスンに至っては導入時期が未定のままだ。
EXE:5200は量産用途に特化して設計されており、1時間あたり200枚以上のウエハーを処理可能で、解像度8ナノメートル(nm)未満の高精細なパターン形成に不可欠な装置だ。
ASMLはEUV技術の量産導入を加速させており、2025〜26年には年間90台のEUV露光装置、600台のDUV装置を生産する計画を打ち出している。24年に主力として出荷されている「TWINSCAN NXE:3800E」は、1.1nmのアライメント精度、露光速度30mJ/cm²、毎時195枚のウエハー処理能力を有し、年間約170万枚の生産が可能だ。さらに今年度内には、処理速度と生産能力をさらに向上させた「NXE:4000F」の出荷も予定されている。



