マスク氏、トランプ次期米政権の対中政策のキーパーソンに

米中対立の緩衝役に期待も

第2次トランプ米政権「トランプ2.0」の主要閣僚など人事に関心が高まるなか、そのキーパーソンとして、米国の電気自動車(EV)大手Tesla(テスラ)のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が注目されている。中国で電気自動車(EV)事業を大々的に進めるマスク氏は、「トランプ2.0」の外交や経済政策、とりわけ最重要の対中政策で多大な影響力を持つとみられている。

トランプ次期大統領は米国時間12日、第2次政権で新たに新設する「政府効率化省」の統括者にイーロン・マスク氏を付けると発表した。

トランプ氏は声明で、「この素晴らしい米国人は共に私の政権が官僚主義を解体し、過剰な規制を削減し、無駄な支出を削減し、連邦政府機関を再編成する道を切り開くだろう」と述べた。財政支出の削減など行財政改革を進めていくとみられる。

一方、騰訊網など中国のメディアは、マスク氏を「米中国交樹立の功労者であるキッシンジャー元米国務長官の再来」として期待する声が高まっている。中国経済に精通し、訪中のたびに中国の高官と会見して政界にも深い人脈を築いていおり、米中の架け橋になる能力を備えているとの見方だ。

とりわけマスク氏自身が中国でEVを始めとする事業を展開していることから、厳しすぎる対中制裁で米中関係が大きく揺らぐ事態に陥れば、自身の事業にも多大な被害を被ることになる。事実、マスク氏はこれまでにも緊迫化する米中関係に懸念を示し、中国製EVへの関税を引き上げたバイデン政権を批判してきた。中国メディアは「たとえマスク氏にキッシンジャー氏のような影響力がないとしても、彼が自身の役割を発揮し、米中関係の安定化に寄与するだろう」との期待が高まっている。

マスク氏がトランプ氏の中国に対する厳しい態度を変え得るかについて、外界では現時点で統一した見解はない。ただ、マスク氏が米次期政権、特にトランプ氏自身に対する影響力を持つことは確実になっており、彼の対中政策の考え方が一定程度反映されていくことになりそうだ。

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