日本企業の中国法人向け設備投資、今年第2四半期は16%減
自動車メーカーの低迷が響く
日本企業の中国法人向け設備投資が大きく減速している。2024年第2四半期(4~6月)の日本企業の中国法人向けの設備投資額は前年同期比16%減と7四半期連続の減少となり、欧州への投資額を下回った。特に日本の自動車メーカーは電動化の熾烈な競争に晒され、影響は部品などサプライチェーン全体にも広がっているもようだ。
日本の経済産業省(METI)の発表によると、中国(香港を含む)への設備投資は今年4〜6月にかけてドルベースで前年同期比16%減少した。調査は、約5300社の海外子会社(日本企業が50%以上の株式を保有する製造会社)を対象としている。
日本の海外投資に占める中国の割合は13.6%で、2四半期連続で欧州を下回った。これは海外子会社への投資が中国が18.6%を占めた19年第2四半期(4〜6月)から約5ポイント減少したことを意味する。同じ5年間で欧州のシェアは約1ポイント増の13.8%、北米は約10ポイント増の36.8%だった。
日本にとって、中国は第2位の輸出先であり、第1位の輸入先だ。中国は、地理的にも経済的にも、両指標で3位の欧州よりも日本と密接な関係にあるが、投資先としての優先順位は低下している。
■中核の自動車産業が低迷
特に日系自動車メーカーの業績低迷が、日本企業の中国への設備投資低迷の大きな引き金となっている。中国の輸送機器部門の子会社の四半期収益は、年初から前年同期比で20%以上減少した。
日産自動車は今年6月に江蘇省常州市の完成車工場を閉鎖した。同工場の年産能力は13万台で、日産の中国における総生産能力の10%に相当する。日産は他の工場の生産能力削減も検討している。
ホンダも7月、広東省の工場を閉鎖し、湖北省の工場の生産を停止する計画を発表した。新たなEV工場の開設計画を考慮しても、同社の中国での生産能力は年間29万台削減される計算だ。
影響を受けるのは日系の部品・素材メーカーだ。ホンダグループ傘下で自動車用部品のJ-MAXは今年1月、広東省広州市の広州丸順汽車配件の一部生産能力を中国企業に譲渡すると発表している。
車のキーなどを製造するアルファは、湖北省の子会社を3月に解散し、生産能力を集約する。 電機メーカーのフジクラは2023年にワイヤーハーネス工場を閉鎖し、生産を1工場に集約する。
原材料メーカーでは、新日鉄が中国国営の宝鋼集団傘下の宝山鋼鉄との合弁事業から撤退することを決めたため、現地での生産能力が70%低下する見込みだ。
日系自動車メーカーの苦境に加え、中国の自動車用鋼板メーカーの技術力が向上し続けているため、競争が激化している。帝人は3月、炭素繊維などの自動車用素材を製造する中国子会社を現地企業に売却した。
他の業界も投資のペースを落としている。 化学会社のDICは年内に中国の液晶材料事業から撤退する。 同社は技術的な優位性が薄れるにつれ、地元企業に市場シェアを奪われている。