CCLに熱視線、中国企業もグローバル競争に参戦
米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)がこのほど、韓国の銅箔メーカー、ソルース先端素材(Solus Advanced Materials)が生産するHVLP銅箔(低粗度銅箔)に関して量産の最終許可を下したことで、基板製造のベースとなる銅箔積層板(CCL)業界に熱い視線が向けられている。
エヌビディアが近く市場投入する次世代の人工知能(AI)アクセラレーターにHVLP銅箔が採用されることを示す動きとみられており、CCL業界の今後の盛り上がりを予期するものとして注目された。中国の同業界はスタートで出遅れたものの、世界第一線のサプライチェーンへと食い込むとともに、輸入品の代替生産を進めている。
AI技術の目覚ましい発展がAIサーバーの需要を刺激するなかで、CCLの需要は伸び続けている。CCLの製造コストの3~5割を占める銅箔の値上がりを受けて、CCLメーカーは足元で技術革新を求められている。HVLP銅箔は、電子製品の信号損失を最小化するために表面粗さ(粗さ)を0.6マイクロメートル以下に抑えた製品だ。プリント基板やリチウム電池用銅箔を生産する安徽銅冠銅箔集団は、中国紙『科創板日報』の独自取材に対して、中国で唯一、HVLP銅箔を出荷できる能力を擁すると明かした。現在、生産量を段階的に増やしており、6月は100トン超を出荷した。出荷先は、南亜新材料科技や台光電子材料、台燿科技などのCCLメーカーで、一部の顧客はエヌビディアに製品を納入しているという。
逸豪新材もHVLP銅箔の量産準備を進めており、すでにサンプル品を顧客に納入した。同社は新規株式公開(IPO)で調達した資金の一部を年産1万トンの低粗度の高精度電解銅箔生産ラインに充てる計画で、今年第2四半期の稼働を目指している。
中国のCCL業界をリードする生益科技は、高周波高速CCLを巡る世界競争に参加する中国唯一の企業となった。AIサーバー向けCCLをエヌビディアに供給するサプライヤーに選定され、韓国・斗山電子と台湾の台光電子材料による2社独占状態を打破した。アナリストは、2024年にエヌビディアに供給されるAIサーバー向けCCLは、台光電が60~65%、斗山電子が20~25%、生益科技が10~15%の比率になると予測した。
中国のCCL業界は今年、世界経済の低迷を背景に電子部品業界の打撃が顕著だった前年から回復している。川下企業の需要拡大を背景に1~5月の輸出入額は、輸入が前年同期比31%増の4億3100万米ドル、輸出が12%増の2億5800万米ドルだった。上場企業の1~3月業績も好内容で、生益科技は17.7%増収、66.4%増益を達成。銅価格の上昇を追い風に、前年通年に19.2%だった粗利益率は21.3%に改善した。