中国新興フレキシブルOLEDメーカー柔宇科技が破産申請か

会社は「通常通り運営」と否定

中国の新興パネルメーカー、深セン市柔宇科技(ROYOLE、広東省深セン市)が3月29日経営破たんしたことが分かった。同社はフレキシブルOLED(有機ELディスプレイ)ディスプレイの開発・製造を手掛け、その技術は韓国のサムスン電子や中国の華為技術(ファーウェイ)を超えるとも言われていた。

全国企業破産再編案件情報網によると、同社と子会社2社が3月29日、広東省深セン市中級人民法院に破産手続開始の申立てを行った。

同社の時価総額は一時500億元(約1兆45億円)を超えていたが、資金ショートを起こし、上場撤回、生産停止、給与遅配といったネガティブなニュースが続いていた。

中国の企業情報サイト「天眼査」によると、同社が債務不履行や賃金不払いなどにより刑事責任を問われた案件は20件余りに上り、関連総額は30億元(約628億円)を超えた。

柔宇科技は2012年の設立。フレキシブルディスプレイとセンサーの開発を手がけた。評価額は一時500億元を超え、創業者の劉自鴻はフォーブスの中国億万長者リストに載ったこともある。ユニコーン企業となったが、2021年2月にIPO申請を取り下げた後、資金難に見舞われていた。

21ic電子網によると、柔宇科技の苦境について、専門家は「18年にフレキシブルスクリーンの生産ラインを稼働させたものの、スマートフォンメーカーが調達、搭載しなかったため、収益に繋がらなかったこと。創業者がキャッシュフローを生み出し、会社経営を守る経験が不足していることがある」と指摘している。

創業者の劉自鴻は1983年生まれで、清華大学電子工学科卒業後、米スタンフォード大学で電気工学の博士号を取得。米IBMのグローバル研究開発(R&D)センターでコンサルタント・エンジニア兼研究科学者となり、12年に中国に帰国して起業した。

柔宇科技は、独自の「超低温非シリコンプロセス統合技術」(ULT-NSSP)で、18年に世界で初めて折りたたみ式スクリーンのスマートフォンを発売した。韓国サムスン電子や華為より早かったものの、まだ採用するスマートフォンシリーズが少なく、十分な売上にはつながらなかった。 「技術が進みすぎていて、時代の方が追いつかなかった」と嘆く声もある。

一方、柔宇科技は3月31日、声明を発表し、「自社から破産手続きに入ったわけではない。現在も通常通り操業中だ。最近の倒産の噂は退職した従業員が破産審査を申請したことに端を発している。会社は客観的な事実と法令に従い、確実に問題に対処していく」と述べている。

声明

深圳市柔宇科技股份有限公司

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