米中で「医療AI」市場拡大、騰訊や華為も参入

(微医のリリースより)

人工知能(AI)の医療領域への活用が急速に広がっている。市場規模は年間平均29%超のハイペースで成長を続け、2032年に700億米ドル(約10兆6,013億円)に達するとの予測もある。中国では広大な市場を見据え、医療サービス企業がIT企業と手を組んで医療AI事業に取り組む事例が増えてきた。

インターネット医療大手の杭州微医健康科技(WeDoctor)とネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)は13日、戦略的事業提携を締結した。クラウドコンピューティング、大規模言語モデル(LLM)、デジタルヒューマンといったデジタル技術を用い、医療現場でのAI活用を進めていくことで合意した。がん、心血管疾患、呼吸器疾患、代謝異常症、生殖医療、老年医学の「六病」に対する総合予防治療システムのデジタル化を進める「六病共管」を足掛かりとして、特定の疾患向けのスマート療法を打ち出し、国内に医療AI活用モデル都市を打ち立てることを確認した。

これに先駆けて、ヘルスケア業界向けにAIとビッグデータ製品を手掛ける医渡科技は、通信機器大手の華為(ファーウェイ)との間で、技術開発や市場開拓を含み、医療領域で包括的に戦略していく協定を締結した。併せて2社は、病院運営や臨床研究、スマートアラートシステムなどに活用できるマルチ型医療LLMの訓練ソリューションを発表するとともに、病院のデータガバナンスやデータ分析のスマート化を進めるデジタルミドルオフィスプラットフォームの構築で協力していくことを明らかにした。

中国政府も「AI+医療」の急速な発展を後押ししている。医薬工業の発展に関する「第14次5カ年計画」(2021〜25年)では、生物学的データのマイニングと分析を通じて、研究開発(R&D)分野でAI、クラウドコンピューティング、ビッグデータなどの活用を模索することを打ち出した。 シミュレーションコンピューティングは、新しいターゲットと新薬の発見の効率を向上させると期待されている。

■NVIDIAやMSも投資加速

米国でも「医療AI」向け投資が進む。半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)は、高いコンピューティング能力を通じて、BioNeMoクラウドサービスなどAIプラットフォームをサポートし、医薬品開発や病気の診断と治療のプロセスを加速する。エヌビディアは2023年だけで医薬品のR&D分野の新興バイオテクノロジー企業8社に投資している。

Microsoft(マイクロソフト)の一部門であるNuance Communications(ニュアンス・コミュニケーションズ)やBridge(ブリッジ)、Suki(スキ)は、医師の事務作業を軽減し、医師と患者の有意義なつながりを優先させるAI対応ソリューションを開発している。

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