TSMC、ASML製EUV露光装置10台の調達計画を棚上げ=台湾メディア
台湾のメディアがこのほど、台湾の半導体受託製造大手である台湾積体電路製造(台積電・TSMC)がオランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングからEUV(極端紫外線)露光装置10台を購入する計画を棚上げしたと報じた。ASMLが2ナノメートル(nm)以下のプロセスで使用されることを想定した最先端のEUV露光装置をインテルに優先的に販売することに不満を示したとの見方がある。ASMLにとり、TSMCはEUV露光装置の最大手顧客。TSMCの決定はASMLにとって致命的なダメージとなりそうだ。
ASMLのEUV露光装置の三大顧客は、TSMC、サムスン、インテルだったが、インテルはEUV露光技術を使用する同社の先端プロセス「Intel 4」を用いた先端半導体工場が完成して以降、EUV露光装置の調達を停止した。
またサムスンは、2022年末にEUV露光装置10台をASMLから調達したが、23年初頭に生産能力拡張計画を停止し、減産にも乗り出すとの情報が浮上しており、巨資を投じて購入したEUV露光装置が倉庫に眠っている状況。ASMLはTSMCに望みを託すしかない状況に追い込まれている。
TSMCは回路線幅3ナノの最先端半導体の量産を開始したが、歩留まりは55%程度に留まっており、微細な2ナノ相当に対応できる先端露光装置を業界に先駆けて入手することで、3ナノプロセスの歩留まり上昇と、2ナノプロセスの研究開発を急ぐことを望んでいた。
しかし米国が先端半導体分野で中国への規制を強化するなか、ASMLは突如、今年量産する2ナノ相当に対応できる先端のEUV露光装置6台をインテルに優先的に供給すると発表。残り4台をサムスンとTSMCが奪い合う構図となった。