バイトダンス系AI創薬企業が資金調達、テック大手が相次ぎAI×科学へ

中国のIT大手、字節跳動(バイトダンス、北京市)から分離したAI創薬企業、新生探途(Anew Labs)はこのほど、初のエンジェルラウンドで2億9000万ドル(約452億4000万円)を調達したと発表した。資金調達後の企業評価額は15億ドルに達した。世界のテック大手が相次ぎAI創薬への投資を加速している。

新生探途は、もともとバイトダンス社内に設置されていた創薬チームが前身。AI4S(AI for Science)分野のアルゴリズム人材と、製薬業界で経験を積んだ専門家で構成されている。2021年に劉凱氏が中心となって立ち上げられ、コアチームは約50人。2026年6月に同事業がバイトダンスから分離され、独立運営に移行したのに伴い、チームも新会社へ移籍した。

新生探途の公式サイトによると、同社は生体分子の構造予測・設計、抗体の設計・最適化、創薬などを手掛ける複数のプラットフォームを運営している。

研究開発パイプラインには、IL-17ファミリーに属する3種類すべての二量体タイプを同時に標的とする、世界初とする低分子阻害剤も含まれている。同社が現在公開している製品・技術プラットフォームは「AnewFold」「AnewSampling」「AnewOmni」「AnewDesign」「AnewMind」の5つ。これらに加え、IL17やIL4Rなどを標的とした独自の創薬パイプラインを展開している。

AI4Sを活用して新薬開発に参入する動きは、すでに世界のテクノロジー大手が相次いで取り組む重要な領域となっている。

アンスロピックやグーグルもAI創薬を本格化

米AI企業Anthropic(アンソロピック)のダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)は、生命科学が同社の戦略上、最も優先度の高い分野の一つだと明言している。同社は現在、デンマークの製薬大手ノボ・ノルディスクと提携し、AIツール「Claude Science」を活用した創薬を進めている。

米Google(グーグル)傘下のAI創薬企業Isomorphic Labsも今年5月に21億ドル(約3276億円)のシリーズB資金調達を完了した。同社は製薬企業との共同研究開発を進める一方、自社でも複数の新薬パイプラインを保有し、開発を進めている。

製薬企業側でも、世界的な大手製薬会社(MNC)によるAI活用が加速している。2026年1月には米製薬会社Eli Lilly and Company(イーライリリー)が米NVIDIA(エヌビディア)と提携し、AIイノベーションラボを共同で設立すると発表した。両社は今後5年間で10億ドル超を投じ、わずか2時間で1回の開発サイクルを完了できる「ウェットラボ」と「ドライラボ」を一体化した創薬開発体制の構築を目指す。

また、米ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)は、3万人を超える従業員を対象にAnthropicの主力AIプラットフォーム「Claude」の導入を進めている。研究、臨床開発、企業運営の各領域でAIおよびAIエージェントの活用を拡大する狙いだ。

国内ではAI創薬が産業化へ

中国では9月8日、国内初めてAIを活用して開発された革新的医薬品が承認・上市された。AI創薬はこれまでの概念実証段階から、実際の産業応用へと移行し始めている。

中国の業界関係者は、AI創薬が「業務効率化のためのツール」から「イノベーションを生み出すエンジン」へと急速に進化していると分析する。世界のテクノロジー大手や中国国内のインターネットプラットフォーム企業が相次いでAI創薬市場への参入を進めており、基盤モデル、AI向け計算インフラから新薬パイプラインまで、幅広い領域をカバーする動きが形成されているという。

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