米民主党のテキサス州知事選勝利でAIデータセンター規制強化懸念

エヌビディアやCoreWeave株が時間外取引で下落

米中間選挙は3日、全米で投票を実施し、同日夜から開票が始まった。野党・民主党が連邦議会の上下両院で多数派を奪還する見通しになった。米民主党が、世界有数の人工知能(AI)インフラ集積地であるテキサス州知事選で予想外の強さを見せたことで、市場ではAIデータセンターに対する規制強化への警戒感が急速に高まっている。AIインフラ投資への影響が懸念され、半導体大手NVIDIA(エヌビディア)やAIクラウド事業者CoreWeave(コアウエーブ)など各国で関連企業の株価が下落した。

米メディアが伝えたところによると、米民主党は中間選挙で連邦下院の主導権を獲得するだけでなく、複数の重要州でも共和党候補を破り、上院議席を確保した。CNNは、共和党の牙城だったテキサス州知事選でも民主党候補のジーナ・ヒノホサ氏が当選したと予測した。

ヒノホサ氏は選挙戦でデータセンター規制を主要政策に掲げ、新規データセンターの建設許可を一時停止するとともに、現行の企業向け税優遇措置を撤廃する方針を明確にしていた。こうした政策姿勢を受け、世界有数のAIインフラ集積地であるテキサス州の投資環境が変化する可能性に、投資家の関心が集まっている。

テキサス州は2030年までに米国で新設されるデータセンター容量の約4分の1を占めると予測されている。ヒノホサ氏が建設計画の一時停止を実施すれば、すでに発表されている合計13.3ギガワット(GW)規模のプロジェクトが影響を受ける可能性がある。

テキサス州、AIデータセンター規制の焦点に

テキサス州はこれまで、世界的なデータセンター拡張の主要な受益地となってきた。米商業用不動産サービス大手JLLの報告書によると、同州は2030年までに北バージニアを抜き、世界最大のデータセンター市場になる可能性がある。豊富な土地資源、十分な電力供給、共和党主導の州政府による比較的緩やかな規制環境が成長を支えてきた。

しかし、データセンターの急速な建設拡大は、州内各地で住民の反発を招いている。西テキサスやパンハンドル地域では、世界最大級をうたうデータセンターの建設が進むほか、Google(グーグル)も州北西部で4カ所のデータセンターを計画している。

これに対し、地域住民の間では騒音、水資源の大量消費、電気料金の上昇、農地の転用などへの懸念が強まっている。反対運動も相次いでおり、共和党関係者が主導する団体も現れている。

ヒノホサ氏は、データセンター規制を選挙戦の最重要課題の一つに位置付けた。州議会が住民保護に向けた包括的な措置を整備するまで、新規データセンターの建設許可申請を即時停止するよう提唱。また、大規模データセンターを対象とする現行の20年間の免税措置についても撤廃を求めている。同氏は、この税優遇制度によって州が年間少なくとも10億ドルの税収を失っていると批判した。

今回の選挙結果に対する投資家の反応は、AIインフラ投資におけるテキサス州の重要性を改めて浮き彫りにした。同州はAI計算基盤の建設が集中する地域の一つであり、政策転換が実現すれば、データセンター向け設備投資に依存するエヌビディアやCoreWeaveなどの企業にも影響が及ぶ可能性がある。

同様の政治的圧力は、ほかの州にも広がっている。オハイオ州では民主党のシェロッド・ブラウン候補は、共和党の対立候補を「データセンターの代弁者」と批判。州内ではデータセンター建設禁止を求める住民投票の実施を目指す動きも出ている。ウィスコンシン州でも民主党の知事候補フランチェスカ・ホン氏は、AIデータセンター建設の阻止を選挙公約に盛り込んだ。

データセンター反対論、共和党支持層にも拡大

今回の反発で特徴的なのは、データセンター建設への懸念が民主党だけでなく、共和党支持層にも広がっていることだ。

共和党所属のシド・ミラー・テキサス州農業委員は、データセンターの無秩序な拡大を公然と批判している。また、西テキサスの牧場主で共和党の郡委員を務めるジャイルズ・ダルビー氏は、水資源をめぐる競争が地域住民全体の懸念事項になっていると指摘した。一部の共和党活動家からは、現職のグレッグ・アボット知事への支持を見直すとの声も出ている。

米中間選挙が台湾のハイテク株を揺さぶる

AIデータセンター普及で恩恵を受けてきた台湾でも、中間選挙の開票結果を受けてハイテク株が売られている。こ台湾の電子機器受託製造大手、和碩聯合科技(ペガトロン)の童子賢会長は4日、「AIは米国の国力の根幹に関わる分野であり、政策の調整はあり得ても、AIそのものが廃止されることはない」との見方を示した。「市場の懸念は行き過ぎている可能性がある」と指摘した。

童会長は、民主党政権だったバイデン政権末期にもAI産業は台頭しており、当時の政権がAIの発展を妨げたわけではないと説明。AIは米国の基礎的な国力に直結するため、政策面で一定の見直しが行われる可能性はあるものの、産業の成長そのものが止まるとは考えにくいとの認識を示した。

AIインフラ整備に対する住民の反発についても、米国は国土が広く、建設用地が不足する状況にはないと指摘した。電力不足への懸念に関しては、テキサス州では天然ガスを直接発電に利用でき、液化天然ガス(LNG)を使う場合に比べてコストが安いと説明。同州は電力コストが低いため、大量の電力を必要とするAIデータセンターの立地先としての優位性は変わらないとの見方を示した。

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