米中間選挙、アジア市場に波及する政策リスク

米中間選挙の投開票を控え、アジア市場では選挙結果が米国の政策運営に与える影響に関心が高まっている。市場関係者は、人工知能(AI)関連産業やデータセンターへの規制、通商政策、クリーンエネルギー支援、防衛支出などの動向が、アジア各国・地域の株式市場に波及する可能性を指摘する。

市場関係者によると、民主党が上下両院を制する「ブルーウェーブ」となれば、AI産業やデータセンター建設に対する規制・監督が強化される可能性がある。一方、共和党が議会の支配権を維持すれば、政策の継続性が高まり、韓国や台湾の半導体メーカーをはじめ、米国のハイテク投資ブームを支えるアジア企業に追い風となる可能性がある。

世論調査や予測市場では、共和党が下院の支配権を失う可能性が高いとみられており、上院でも議席を減らすリスクが意識されている。

テクノロジー分野以外では、民主党が躍進すれば中国を含むアジアのクリーンエネルギー企業に恩恵が及ぶ可能性がある。一方、共和党が議会支配を維持すれば、日本の防衛関連企業に有利に働くとの見方もある。市場関係者は、議会と政権のねじれによって財政拡張が抑制され、米国債利回りが低下すれば、間接的に株式市場を下支えする可能性があると指摘する。

今回の中間選挙は、アジア市場でAI関連銘柄への投資を巡る不透明感が強まるタイミングで実施される。投資家の間では、高止まりする借入コスト、メモリー半導体ブームの持続性、AIインフラ投資に伴う巨額の債務が十分な収益を生み出せるかといった懸念が広がっている。AIの安全性やデータセンター開発、電力コストなどの問題が米国の政治課題として浮上するなか、中間選挙が新たな不確実性をもたらしている。

米国の市場関係者は、民主党が大勝すれば、こうした問題への対応が一段と急務となり、AI関連株の調整につながる可能性があると指摘。「AIにとって脅威となる要因は、韓国、日本、さらには程度は小さいものの中国の株式市場に対する投資家心理にも大きな影響を及ぼす」と述べた。

もっとも、トランプ大統領は大統領拒否権を持つほか、関税、移民、外交政策などで幅広い権限を維持しており、民主党が議会で多数派を握っても、政策転換には一定の制約がある。トランプ氏は日曜日、民主党が火曜日の中間選挙で多数派を獲得すれば、自身は「拒否権を行使する大統領」にならざるを得ないとの考えを示した。

AI政策、韓国・台湾の半導体産業に影響

AI投資ブームの恩恵を受けるアジアは、他の多くの地域と比べても米国の政策変更に対する利害関係が大きい。韓国と台湾は、米国のデータセンター建設を支える先端半導体や重要ハードウエアの主要供給地となっている。

ただ、民主党主導の議会がAI産業への監視を強化すれば、こうした供給網への依存がアジア市場のリスクとなる可能性もある。具体的には、データセンターの電力供給コストについてAI開発企業に一段と大きな負担を求める措置や、通商・技術政策に対する議会の監督強化などが想定される。

インフラや電力のコスト上昇、データセンター建設の遅延につながる政策が導入されれば、AIへの巨額投資や、その資金調達に伴う債務負担の増大に対する投資家の懸念が強まる恐れがある。

華僑銀行(OCBC)のウェルス・アドバイザリー部門のエグゼクティブディレクターは、米国のAIインフラ整備やデータセンター開発、技術規制を巡る政策変更が、最終的にアジアのサプライチェーンに波及する可能性があると指摘する。実際、一部の資金はAI関連株から金融、ヘルスケア、公益事業などのセクターに移り始めているという。

一方、米議会の勢力図にかかわらず、世界的なAI計算能力やインフラへの需要は引き続き堅調との見方も根強い。

市場関係者は、韓国と台湾の半導体メーカーはAI関連の構造的な投資需要を支える重要な存在であり、選挙結果がどのようになっても恩恵を受ける立場にあると指摘した。

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