台湾・日月光傘下の矽品、中科二林園区で1,000億元規模の増産計画

台湾の半導体後工程大手、日月光投控(ASE Technology Holding)傘下の矽品精密(SPIL)が、台湾中部の中科二林園区で1,000億台湾ドル(約4800億円)規模の設備投資を計画していることが分かった。半導体サプライチェーン関係者によると、矽品は台湾積体電路製造(TSMC)グループが当初計画していた同園区の約50ヘクタールの土地を引き継ぐ方向で、中部科学園区管理局に申請を提出したという。経済日報が伝えた。

ただし、土地の割り当てや建設する工場の数、投資総額はまだ確定していない。日月光投控は3日、関連報道についてコメントを控えた。

関係者によると、TSMC傘下の精材科技(3374)は当初、中科二林園区に新たな半導体封止・検査工場を建設することを検討していた。しかし、TSMCが先ごろ、友達光電(AUO、2409)の中科にあるL7、L5Cの2工場を取得すると発表したことを受け、グループ内の投資計画が見直されることになった。これに伴い、精材が当初予定していた二林園区の用地を矽品が引き継ぐ方向で調整が進んでいるという。

業界関係者によると、矽品は最近、新規投資案件について中科管理局と協議を開始した。約50ヘクタールの土地を全面的に活用する場合、複数の先端パッケージング・検査工場を段階的に建設する可能性があり、投資額は1,000億台湾ドルに達する見通しだ。計画が順調に進めば、二林園区における矽品の累計投資額は2,000億台湾ドル規模に拡大する可能性がある。

矽品は二林園区でゼロから事業を始めるわけではない。既存工場ではすでに順次生産を開始しており、後続の工場建設や設備導入も進めている。今年6月には、同園区で11.15ヘクタールの土地使用権を取得したと発表しており、今回の増産計画に先立って準備を進めていた。新規案件が実現すれば、二林園区は中台湾における先端パッケージング・検査の重要な生産拠点となる。

今回の投資計画の背景には、TSMCによる工場取得を含む中科全体の半導体生産体制の再編がある。友達光電は10月29日、中科工場と付属設備を388億台湾ドルで売却すると発表した。TSMCは現在、中科の第2期拡張計画として、1.4ナノメートルの先端プロセス工場4棟の建設を進めており、第1棟は2027年の完成を予定している。既存工場に隣接する施設を取得することで、新たに工場を建設する場合に比べ、立ち上げまでの時間を短縮できるとみられる。ただし、取得した施設の具体的な用途は今後のTSMCの計画次第となる。

矽品の増産を後押ししているのは、AI半導体や高性能コンピューティング(HPC)向け需要の拡大だ。TSMCが先端パッケージング技術「CoWoS」の生産能力を増強するのに伴い、後工程のパッケージングや検査を外部委託する需要も高まっている。

日月光投控は10月末の決算説明会で、先端封止・検査事業「LEAP」の今年の売上高目標を40億ドルに上方修正し、2027年には倍増を目指す方針を示した。これに合わせ、今年の設備投資額も115億ドルに引き上げている。

顧客側からも増産に向けた明確な動きが出ている。米エヌビディアは10月、ドイツで開催された「GTC」で矽品と共同パッケージ光学(CPO)向け光エンジンの生産能力を拡大すると発表した。2027年半ばまでに現在の15倍に引き上げ、2028年末までにさらに倍増させる計画だ。また、AMDのリサ・スー会長兼最高経営責任者(CEO)も10月の台湾訪問時に、台湾のサプライチェーンへの投資を拡大する方針を明らかにした。

市場関係者は、TSMCによる先端プロセス工場の建設、既存工場の活用、矽品による後工程のパッケージング・検査能力や光エンジンの増強が重なることで、中科では半導体サプライチェーンの集積が一段と進むと指摘する。二林園区の新規投資が実現すれば、矽品のAI半導体関連の大型受注への対応力が高まるだけでなく、台湾の先端パッケージング産業の競争力強化にもつながりそうだ。

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