華為元幹部、AIメモリ企業を設立 数億元を調達

AI(人工知能)メモリー・インフラ開発を手掛ける中国のスタートアップ、深セン市憶紀元科技(MemoraX AI)はこのほど、数億元規模のシードプラスプラス(Seed++)ラウンドの資金調達を完了した。愛集微が伝えた。
MemoraX AIにとって今回の調達は、今年4月のシードラウンド、5月のシードプラスラウンドに続く、短期間で3回目となる大型資金調達だ。
MemoraX AIは2026年3月に設立された。次世代のAIメモリーシステムの構築に注力しており、AIエージェントがユーザーとの対話を通じて継続的に進化できる仕組みを目指す。単に情報を保存するのではなく、一つひとつの対話を通じて自己進化する「記憶する脳」をAIに組み込む構想だ。
創業者兼最高経営責任者(CEO)の郝建業氏は、天津大学の特任教授および博士課程指導教員を務める。国家傑出青年科学基金の受給者であり、世界上位2%の科学者にも選出されている。郝氏はこれまで、華為(ファーウェイ)の方舟研究所で意思決定・推論ラボの主任、大規模モデルアルゴリズム研究所の主任、医療事業部門の技術担当バイスプレジデントなどを歴任した。
MemoraX AIは、大規模言語モデルの長期記憶能力を中心に、「学習可能な記憶戦略エンジン」「記憶基盤モデル」「自己進化型Agent Harness」を中核とするAIエージェント向けの記憶技術体系を構築している。
テキスト記憶の領域では、超長文コンテキストと時系列推論記憶の能力で技術的な進展を実現した。マルチモーダル記憶の主要ベンチマークであるMem-GalleryとATM-Benchでは首位を獲得し、トークン消費量も30%削減したという。
プログラミング効率化ツールの分野では、コーディングエージェント向けの記憶製品を開発した。CodexやClaude Codeなどのプログラミングエージェントがプロジェクトのコンテキストを継続的に理解できるようにし、複雑で長期にわたるタスクにおける説明の繰り返しやコンテキストの断絶を減らす。これにより、タスクの実行効果を高めると同時に、トークン消費量を大幅に削減できるとしている。
MemoraX AIは現在、医療・ヘルスケア、スマートホーム、スマートウエアラブル、具身知能などの分野で大手企業と提携している。長期記憶機能を実際の業務シーンに組み込み、慢性疾患の管理ではユーザーの健康状態を継続的に理解し、スマートホームでは家族の習慣や機器の好みを蓄積する。スマート端末では、期間をまたいだパーソナライズド・インタラクションを実現する構想だ。
同社はすでにファーウェイクラウドと正式に戦略提携を結んでいる。ファーウェイクラウドの大規模モデル戦略パートナーに選ばれた企業のうち、長期記憶分野に特化する企業はMemoraX AIが唯一だという。




