インドのモディ首相、半導体工場8カ所・原子炉5基を計画

2047年の先進国入りを目指す

インドのモディ首相はこのほど、独立記念日の演説で、今後7~8年以内に国内に最大8カ所の半導体工場を新設するとともに、5基の原子炉の稼働を開始する計画を明らかにした。さらに、2047年までに原子力発電の設備容量を100ギガワット(GW)に引き上げる目標を掲げた。

モディ首相は演説で、インドが半導体の自給自足に向け、国内の製造能力の構築に着手したと明言した。今後7~8年の間に、国内で5~8カ所の半導体工場が稼働を開始する見通しだという。

現在、インドではすでに3カ所の大規模半導体工場が稼働している。モディ首相は演説で工場名などの詳細を明らかにしなかったが、これまでの公表情報によると、インドは近年、半導体分野で積極的な政策を展開しており、海外企業や国内企業を誘致して、ウエハー工場や組立・テスト工場の整備を進めている。

モディ政権はこれまで、総額7600億ルピー(約1兆2616億円)規模の半導体支援策を打ち出してきた。この政策を通じて、インドを世界の半導体製造における重要な拠点へと育成することを目指している。

原子力発電を100ギガワットへ

エネルギー分野では、モディ首相はより大胆な計画を示した。インドは代替エネルギーの開発を加速させる必要があるとして、5基の原子炉の建設・稼働を開始し、47年までに原子力発電の設備容量を100ギガワットに引き上げる方針を示した。

この目標を達成するには、今後20年余りの間にインドの原子力発電設備を数倍に拡大する必要がある。現在のインドの原子力発電設備容量は約8ギガワットとされており、100ギガワットという目標は、10倍を超える拡大余地を意味する。

モディ政権は原子力を、エネルギー安全保障と低炭素化を同時に実現するための手段と位置付けている。原子力発電を拡大すれば、輸入化石燃料への依存を減らせるだけでなく、二酸化炭素排出量を大幅に増やすことなく、急速に拡大する電力需要にも対応できるとみている。

6Gを「メード・イン・インディア」の輸出産業に

半導体と原子力に加え、モディ首相は通信技術と製造業の高度化に対する意欲も示した。インドは「メード・イン・インディア」の6G(第6世代移動通信システム)技術を世界中に普及させる方針であり、製造業のバリューチェーン全体における国内の存在感を高め、生産品質を向上させる必要があると強調した。

6G技術は現在、まだ初期段階の研究開発にある。世界の主要経済国はすでに次世代通信技術への取り組みを始めており、インドがこの時期に6G戦略を強く打ち出した背景には、次世代通信分野で主導権を確保する狙いがあるとみられる。

インドは5Gの普及・開発競争で相対的に出遅れたとされており、6G時代に同じ状況を繰り返すことを避けたい考えだ。モディ首相が6Gを「メード・イン・インディア」ブランドと結び付けたことは、通信技術の輸出をインドのソフトパワーと経済的影響力を広げる重要な手段と位置付けていることを示している。

製造業の全バリューチェーンへの進出を目指す

製造業に関するモディ首相の発言からは、現在の世界的な産業分業に対するインドの問題意識もうかがえる。インドは世界有数のサービス・アウトソーシング拠点となっている一方、製造業のバリューチェーン全体における参加度は依然として限定的だ。特に、高度な製造技術や中核部品の分野では、輸入への依存が大きい。

モディ首相が「生産品質の向上」を強調したことは、インドが単に製造業の規模を拡大するだけでなく、技術水準と製品競争力の面で質的な飛躍を遂げる必要があるとの認識を示している。

もっとも、目標の実現には多くの課題が残されている。インフラ整備、労働力の技能向上、官僚機構の効率化、州政府間の政策調整などは、インドの産業政策を実際の成果につなげるうえで重要な制約要因となる可能性がある。

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