SKハイニックス、大連第2工場を再稼働へ NAND生産能力を50%拡大

韓国紙・ソウル経済新聞が11日に報じたところによると、SKハイニックス傘下でNANDフラッシュメモリーを手掛けるSolidigmは、中国・大連市にある第2工場への投資を再開した。同工場は2027年上半期にも量産を開始する見通しだ。
大連第2工場の建設計画は、22年5月にさかのぼる。当時、SKハイニックスは米Intel(インテル)のNAND事業と大連第1工場の買収を完了したばかりで、その後、完全子会社としてSolidigmを設立した。
当初の計画では、第2工場を第1工場と連携させることで相乗効果を生み、SKハイニックスの世界NAND市場における地位をさらに強化する構想だった。しかし、着工後まもなく市場需要の低迷など複数の逆風に見舞われ、プロジェクトは最終的に4年にわたって停滞していた。
2026年に入り、Solidigmは上半期に投資資金を再投入した。工場の建屋本体はすでに完成している。計画によると、生産設備は早ければ26年11月から搬入・設置・試運転が始まり、27年上半期には量産体制が整えられる見通し。
新たな生産ラインの月間ウエハー投入能力は約5万枚となる。大連第1工場の月間約10万枚と合わせると、大連拠点全体の月間生産能力は15万枚に達し、従来から約50%増加する計算だ。
大連第1工場は、SKハイニックスが2021年に買収したインテルのフラッシュメモリー事業を起源とする。現在もSolidigmにとって重要な成熟NANDの生産拠点だ。第2工場には第1工場と同じ設備が導入され、インテルが従来採用してきた浮遊ゲート(フローティングゲート)構造の技術路線が継続される。
AIが企業向けストレージ需要を押し上げ
4年前の操業停止が需要縮小によるものだったとすれば、今回の再稼働はAI(人工知能)による需要急増の恩恵を受けた動きだ。この需要の波は、企業向けソリッドステートドライブ(SSD)の需要を直接押し上げている。AI学習クラスターや推論サーバーでは、データ処理量を支えるため、高速かつ大容量のストレージが大量に必要とされるためだ。
需要の急増は、価格にも速やかに反映されている。台湾の市場調査会社TrendForce(トレンドフォース)の統計によると、26年第1四半期(1~3月)の世界NANDサプライヤー上位5社の合計売上高は前四半期比83.7%増の389億ドル(約6兆2006億円)超となった。
SKハイニックスグループ(SKハイニックスとSolidigmを含む)は、約75億3600万ドルの売上高で世界2位となった。前四半期比の増加率は44.6%で、市場シェアは17.6%に達した。Solidigmでは大容量QLC企業向けSSDの注文が相次いでおり、グループの成長を支える重要な原動力となっている。
供給面でも逼迫感が強まっている。メモリーメーカーが、利益率の高い高帯域幅メモリー(HBM)やサーバー向けDRAMへ生産能力を大きく振り向けているため、従来型NANDの生産能力が圧迫されている。
TrendForceによると、2026年第3四半期のNANDフラッシュ契約価格は、前四半期比10~15%上昇すると予想される。第2四半期の70~75%という上昇幅に比べれば伸びは大幅に鈍化するものの、供給不足の構図は短期的には解消されにくい。
「二軌道戦略」が鮮明に
大連第2工場の再稼働は、単純な生産能力の拡張ではない。SKハイニックスが周到に設計するNAND事業の「二軌道戦略」における重要な一手を意味する。
大連拠点は成熟技術を用いた汎用NANDの生産に特化する。主力製品は、インテルの浮遊ゲート構造を基盤とする約100層NANDで、企業向けSSD市場を主な対象とする。
この位置付けにより、大連工場が培ってきた技術や既存設備を有効活用できるほか、先端装置の輸出規制によるアップグレード上の制約も回避できる。浮遊ゲート構造は、積層数では電荷トラップ構造に及ばないものの、QLCなど高密度ストレージの用途ではなおコスト面の優位性を持つ。Solidigmは現在も浮遊ゲート方式を採用する世界でも数少ない主要メーカーの一社だ。
これに対し、SKハイニックスは先端の高積層NANDの生産を韓国国内に集中させる。清州M17工場は次世代NANDの中核拠点と位置付けられ、300層以上の高性能製品を生産する計画だ。
SKハイニックスは清州M17工場に19兆1000億ウォンを投資すると発表している。最初のクリーンルームは28年末に稼働する見通しだ。
さらに同社は26年8月の取締役会で、総額約54兆3000億ウォンの新規投資を承認した。このうち35兆2000億ウォンは龍仁Y2工場のDRAM生産能力の構築に、19兆1000億ウォンは清州M17のNAND生産能力拡張に充てられる。
「中国では成熟技術、韓国では先端技術」という役割分担により、SKハイニックスはAIデータセンターによる企業向けストレージ需要を取り込む一方、最先端プロセスにおける技術的優位性を地政学的要因によって損なわずに維持する狙いだ。




