理想汽車、半導体チップ会社「芯創智核」を設立

自社開発チップの外部供給も視野に

7月20日、複数のメディアが報じたところによれば、中国新エネルギー車(NEV)メーカーの理想汽車(Li Auto、北京市)はこのほど、新会社「芯創智核(上海)科技」を設立した。事業範囲にはIC(集積回路)チップの設計およびサービス、販売などが含まれており、理想汽車がチップ事業を独立分割する重要な一手と見られている。

工商登録情報によれば、芯創智核は今年7月13日に登録された。登録資本は10万元(約240万円)。同社は上海理想汽車科技が全額出資している。

芯創智核は理想汽車の専属チップ自主開発子会社であり、自社開発の車載AIチッププロジェクトの主体はすべて同社が運営し、車載AIチップ「理想馬赫(マッファ)M100」シリーズのアーキテクチャ設計、コンパイラ、IP開発、テープアウト、車載認証の全工程業務を統括するとの情報がある。

業界分析によれば、芯創智核の周辺には紫光展鋭(Unisoc)、芯原(VeriSilicon)、兆易創新(GigaDevice)など大手IC設計会社が集積しており、高密度の人才プールを形成している。半導体受託生産(ファウンドリー)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)の南京工場、中芯国際集成電路製造(SMIC、上海市)などのウエハー製造リソース、ならびに長電科技(JCET)、通富微電(Tongfu Microelectronics)などのパッケージング・テスト生産能力は、いずれも長江デルタの「3時間交通圏」内にある。IC設計企業として、上海自由貿易区では税制優遇政策も享受できる。

事業範囲に含まれる「集積回路チップおよび製品の販売」という一項目が注目されている。これは理想汽車が将来的に外部市場へのチップ供給を行う可能性のシグナルと外部から解釈されているためだ。理想汽車の謝炎(Xie Yan)最高技術責任者(CTO)氏は今年6月中旬のインタビューで、「(チップの)外部向け利用にはツールチェーンが重要であり、社内でツールチェーンを整備した後は、外部供給は自然な流れになる。(現在)多くのロボット会社が我々のチップに興味を持っている」と語り、理想汽車が自社開発チップを外部供給する可能性を排除しないと示唆していた。

これに先立ち、蔚来(NIO)と小鵬(Xpeng)はすでにチップまたは関連技術の外部販売を相次いで実現している。蔚来の「神玑NX9031」チップは外部への技術ライセンス供与を開始し、愛芯元智(Aixin Yuanzhi)との合弁会社も設立した。小鵬のAIチップ「図霊(Turing)」はドイツのフォルクスワーゲン(VW)から量産定点を獲得した。また21世紀経済報道によれば、2026年北京モーターショーのメディアデーに、李想氏が理想汽車を離れて独立起業した数人の元幹部と会食した際、テーブルで最も多く出た要望は「マッハM100を自分たちにも供給できないか」というものだったという。

5年かけてチップを開発

芯創智核の自信の源は、すでに量産・搭載済みのマッハM100にある。「世界初の動的データフローAIチップ」と公式に称されるこの製品は、TSMCのN5A車載グレードプロセスを採用し、単チップの演算能力は1280TOPS、デュアルチップの総演算能力は2560TOPSで、計算効率は82%に向上している。現在、新世代の「理想L9」「L8」「L6」に量産搭載されている。

理想汽車のチップ開発スケジュールは非常にタイトだった。2021年に着想し、22年11月に正式にプロジェクトを立ち上げ、24年にテープアウト、25年にサンプル検証、26年に搭載と、実際の所要期間は約3年半だった。謝炎氏はインタビューで、同様の条件の他社と比べて理想汽車は「スタートが最も遅かったが、完成時間はそれほど遅れなかった」と率直に述べた。彼はその速さを「共同設計」に帰している。チップチームとモデルチーム、自動運転チームが一緒に座って要件分析を協力して行い、「彼らのインプットと認識がなければ、方向性がずれてしまう」と語った。24年初頭のテープアウト直前に大規模言語モデルが台頭し、チームはTransformerアーキテクチャの重要性に気づき、急遽チップに対して的を絞った最適化を行った。「社内チームなら1ヶ月で解決できたが、外部サプライヤーならこのような要求は絶対に受け付けない」という。Chipletアーキテクチャに関する外部の憶測に対して、謝炎氏は明確に「Chipletは使っていない、一つの大きなSoCだ」と回答した。

なぜ自社開発するのかについて、謝炎氏の判断はシンプルな技術的直感に基づいている。演算能力は常に不足しているということだ。「外部ベンダーに依存すると速度が遅くなる」と述べ、インテルとNVIDIAの時価総額の逆転を例に挙げ、AI計算の爆発的成長が新たなアーキテクチャの機会を生み出しており、「自動車の今後の競争はますますアップルや華為(Huawei)のような状態を呈するようになる。トップ企業は自社開発し、他の企業は汎用ソリューションの調達に頼る」と述べた。コスト面では、「出荷量×単チップ面積」で計算するという論理を持っており、自社開発チップはソフトウェアやモデルと組み合わせることで有効演算能力が公称値をはるかに超え、「真の比較では、自社の1チップが複数の外部調達チップに相当するため、コスト差はさらに大きい」と述べた。また、マッハM100は自動運転専用チップではなく、「あらゆるモデルを実行できる」ものであり、将来的には理想汽車の全車種に展開されると確認した。

李想(Li Xiang)氏自身もSNSで「金を無駄遣いして流行に乗っている」という批判に対して回答している。「我々が自社チップを開発するのは、技術力を証明するためではなく、AIを物理世界で真に動かすためであり、自社開発チップで現在のサプライヤーの技術では解決できない難題を解決するためだ」と述べた。彼の見方では、アップルの体験が優れている理由は自社チップ、OS、ハードウェア、クラウドサービスの全チェーンの自主設計にあり、「単項目チャンピオンを競う時代は過ぎ去った。AI時代に競われるのはシステム化能力だ」と語った。

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