韓国、次世代パワー半導体の国家戦略始動 2030年までに技術自立率20%へ

韓国政府はこのほど、次世代パワー半導体に関する国家戦略を正式に始動した。大韓民国産業通商資源部は「次世代パワー半導体推進チーム」を新設し、戦略の実行を統括する。2030年までに、次世代パワー半導体の技術自立率を現在の10%から20%へ引き上げる。
政府は明確な数値目標を掲げた。30年までに、次世代パワー半導体の技術自立率を現在の10%から20%へ引き上げる。これは、従来の「技術開発支援」にとどまる政策から、国家戦略インフラとして体系的に育成する方針への大きな転換を意味する。
世界のパワー半導体市場では競争が激化している。欧州は自動車産業を基盤に数十年の技術蓄積を持ち、特に炭化ケイ素(SiC)の商用化で先行。電動車(EV)や産業用電力システム分野で優位を築く。米国はAI(人工知能)データセンターや防衛分野の需要を背景に、高信頼・高性能製品を国家戦略資産として管理し、優位性を強化している。
一方、韓国は長年メモリ半導体に注力してきた経緯から、パワー半導体分野では後発とみなされる。さらに、中国がSiCや窒化ガリウム(GaN)など新材料への大規模投資と量産体制構築を急速に進めていることから、技術格差拡大への懸念も高まっている。
今回の戦略で注目されるのは、従来の「研究開発(R&D)先行型」からの転換だ。新設の推進チームは、電気自動車、国家電力網、AIデータセンター、防衛といった重点需要分野の計画段階から、必要とされる性能・仕様を明確化し、研究開発と需要を精密に連動させる方針を打ち出した。輸入部品への依存が根強く、国産品への切り替えが進みにくいという国内の課題を打破する狙いがある。
推進チームはこの戦略を「需要優先、研究開発はその次」と位置付け、公共インフラ需要と民間需要を同時に取り込む点を強みとする。
工程としては、上半期に次世代パワー半導体の技術ロードマップを策定し、材料開発から製造プロセス、チップ設計、ファウンドリー生産まで全産業チェーンを網羅する中長期方針を整理。下半期には大規模研究開発プロジェクトの立ち上げと制度整備を進める。
さらに、法改正や制度改善を通じて、国産パワー半導体が国家電力網やAIデータセンター、武器システムなど公共分野へ円滑に導入される環境を整備する方針だ。人材育成強化も掲げ、産業基盤の底上げを図る。
韓国が掲げた技術自立率20%の目標は、半導体政策の方向転換を象徴する試金石となる。需要主導型モデルが競争力向上につながるかが、今後の焦点となる。



