中国の大晦日特番「春晩」で松延動力の人型ロボット登場
国産アナログ半導体メーカーが参戦

中国中央広播電視台(CCTV)は16日、旧正月(春節)の大晦日の特別番組「2026年春節聯歓晩会(春晩)」で、北京松延動力科技集団股フン(Noetix Robotics、北京市)のヒューマノイドロボットによる演出を放送した。宇樹科技(Unitree Robotics)、銀河通用、魔法原子に続く動きで、インターネット大手の主戦場だった春晩に「ロボット」という新テーマが定着している。
近年、フィジカルAI(Physical AI)が半導体革新の中核エンジンとなる中、ロボットは産業用途から人型サービス、自律移動へと急速に応用領域を拡大している。
米市場調査会社IDCは、25年の世界ヒューマノイドロボット出荷台数が約1万8,000台に達し、前年比約508%増と予測。Interact Analysisは、ロボット産業における半導体部品需要が今後5年間で年平均21.4%成長し、2032年には市場規模が28億ドル(約4292億4000万円)に達するとの見通しを示す。
ロボットの「感知―判断―実行」を支える基盤がアナログ半導体だ。電源管理、信号チェーン、モータードライバー、センサーインターフェースなどを担い、性能・低消費電力・高信頼性が競争軸となる。異種集積の進展により、デジタルICやセンサーとの融合も進む。
国際大手が先行
国際大手は長年の技術蓄積とエコシステム優位を背景に、ロボット分野で包括的な布陣を敷く。
米Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ)は電源、モータ制御、通信、機能安全まで網羅する製品群を構築。C2000™ TMS320F28P65x MCUは高精度センシングとリアルタイム制御を統合し、越疆科技の協働ロボット「CR 30H」開発を支援した。AI(人工知能)データセンター需要と産業回復を追い風に、25年第4四半期売上は44億2000万ドル(前年比約10%増)に達した。
Analog Devicesは決算説明会で、人型ロボットの各関節に高精度電流・位置・トルク制御が必要であり、低遅延・高確定性動作が不可欠と強調。信号処理と電源管理で強みを発揮する。
Infineon Technologiesはロボットを「最も刺激的な機会」と位置付け、CoolMOS™やCoolSiC™などのパワーデバイスで高効率電源を提供。
スイスに本社を置く世界的な半導体メーカーのSTMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)もSTM32やAI対応NPU製品群で人型ロボットの高度化を支える。
国産勢も本格参入
中国では2024年以降、ロボット分野への投資は急拡大。25年には投資件数325件、金額398億元(約8795億8000万円)に達し、前年から200%超増加した。
国内アナログ半導体企業も相次ぎ参入している。瑞芯微のRK3588は宇樹科技や極智嘉など多様なロボットに採用。艾为电子は高精度センシングと電源を統合したソリューションを展開。帝奥微はUSB3.2 Redriver製品をヒューマノイドロボットへ供給。納芯微は車載電源技術をロボット分野へ横展開する。
現在の市場構図は「国際大手が高付加価値領域を主導、国内勢が中低価格帯と細分市場で突破」という二極構造だ。
差別化と政策支援が鍵
国内企業は「大而全」戦略を避け、モーター制御や電源管理など中核部品に集中。研究開発比率を15~30%に維持し、特許強化とカスタム開発で競争力を高めている。政府もIC産業支援策や資金補助で後押しし、IPOなどを通じ資金調達を拡大する。
整機メーカーとの「共同設計・早期参入」モデルも広がり、量産適合を前提とした深い連携が進む。
もっとも、25年の世界ヒューマノイドロボット市場規模は約4億4000万ドルとまだ小さい。宇樹科技や智元机器人でさえ売上は10億元規模に達したばかりで、商業化は緒に就いた段階だ。
ロボットという新たな「ブルーオーシャン」は、同時に高度な技術革新と持続的なビジネスモデルを求める厳しい舞台でもある。アナログ半導体企業がいかに性能限界を押し上げ、商業化を加速できるかが、次の勝敗を分ける焦点となる。



