ベトナム、2026年に初の半導体工場建設へ

ベトナムのファム・ミン・チン首相はこのほど、世界半導体協会(SEMI)の幹部との会談で、2026年までにベトナム初となる半導体製造工場を建設する計画を明らかにした。これは、ベトナムが世界の半導体サプライチェーンの中で確固たる地位を築こうとする強い意志を示すものだ。

ベトナム政府は現在、30年までを見据えた「国家半導体産業発展戦略」を策定しており、50年までの長期展望も示している。また、国家レベルでの半導体人材育成計画や、半導体を含む11の戦略的技術・製品分野のリストも公表した。

チン首相は、26年中に同国初の半導体生産拠点を完成・稼働させることを目指すと表明。その実現には、資金支援、人材育成、技術移転、行政運営などの面で国際的な協力が不可欠だと強調した。SEMIの関係者は会談で、ベトナムが技術大国への道を歩む上で直面しうる課題を指摘し、政府に対して制度改革の加速、行政手続きの簡素化、さらに専門・規制分野での英語利用拡大を求めた。

半導体産業の発展を支えるため、ベトナム政府には安定したクリーンエネルギー供給と強固なデジタル基盤の整備も求められている。また、設計・製造・検査を含む完全な半導体バリューチェーンの構築が重要であり、単なる組立中心の産業構造からの脱却が必要だとの声も上がっている。さらに、政府・学界・民間企業の連携を促すため、「ベトナム半導体協会」の設立提案も出された。

チン首相はこうした提言を歓迎し、「ボトルネックを競争優位に変える」と述べた上で、事業環境の改善を継続する方針を示した。また、外国投資家向けのワンストップ投資窓口を設置し、許認可や行政手続きを簡素化する計画を再確認。SEMIや世界のハイテク企業に対し、ベトナム企業との研究開発センター設立やエンジニア育成支援、グローバルサプライチェーンへの統合協力を呼びかけた。

関連企業も増加

ベトナム工貿省の統計によると、同国にはすでに半導体設計企業が50社以上存在し、エンジニア約7,000人が従事している。さらに15社余りが半導体のパッケージング・検査、装置・材料製造を手がけており、エンジニア約6,600人と技術者1万人超を擁する。166の大学で半導体関連学科が開設され、6,300人以上の学生が専攻、1万2,000人超が関連分野を学んでいる。25年8月時点では、半導体・ハイテク分野における外国直接投資(FDI)プロジェクトが約170件、登録資本額は116億ドルに達する見込みだ。

これらの取り組みから、ベトナムが国家主導で半導体産業の基盤整備を急いでいることが明らかだ。初の半導体工場建設を皮切りに、ベトナムは世界の半導体サプライチェーンにおいて存在感を高める新たなステージに入ろうとしている。

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