オランダ首相、中国がNexperiaのチップ供給再開に同意

オランダのディック・スホーフ首相は7日、中国がオランダ半導体メーカー、Nexperia(安世半導体、ネクスペリア)の中国工場からのチップ出荷再開を認めたと明らかにした。これにより、世界の自動車生産に影響を及ぼす恐れのあった対立が解消に向かう可能性が出てきた。
スホーフ首相は同日、ブラジル・ベレンで開催された気候サミットの合間に行われたインタビューで、「中国から、Nexperiaの中国工場からの供給再開を許可するとの通知を受けた」と述べた。
今回の生産再開は、オランダ政府が安世半導体に対する経営権の掌握を手放す条件を整える可能性がある。Nexperiaは中国の聞泰科技(ウィンセム・テクノロジー)傘下にあり、本社はオランダに置かれている。中国側は報復措置として、同社中国工場の部品輸出を制限しており、その影響は危機前の生産量の約半分に及んでいた。
オランダのヴィンセント・カレマンス経済相は9月末、冷戦時代の法律を引用してNexperiaの経営決定権を掌握。この動きが今回の争いの発端となった。独フォルクスワーゲン(VW)など自動車メーカーが世界的な半導体不足への懸念を示す中、オランダ政府には早期の解決を求める圧力が高まっていた。ホンダは一部工場の操業停止を受け、通期利益予想を大幅に下方修正している。
スホーフ首相は、ブラジルでドイツのショルツ首相と会談した後にこの発言を行い、「これはドイツの自動車工場にとっても朗報だ」と述べた。「合意がどれほど早く成立するかはまだ分からないが、非常に重要な一歩であり、ドイツ首相もこのニュースを歓迎している」と付け加えた。
スホーフ首相によると、今回の問題解決には、オランダ、ドイツ、欧州委員会の協力、さらにオランダと中国両政府による最近の協議が寄与したという。
オランダ側は介入の正当性を主張するため、「聞泰科技がNexperiaの成長を妨げ、重要部品の供給を脅かしている」として、同社創業者の張学政氏が「会社の資金を乱用し、自身および中国国内の他の関連企業の利益を図った」と非難している。
これに対し、聞泰科技はこうした主張を全面的に否定し、張氏の最高経営責任者(CEO)職復帰を求めている。今年10月7日、同社経営陣の請願を受け、アムステルダムの裁判所は張氏を一時的に職務停止とした。
スホーフ首相は、「CEOに対する法的手続きは継続中だが、それは供給再開の焦点ではない」と述べたうえで、「この問題も今後協議すべき課題の一つではあるが、今回の決定とは無関係だ」と語った。



