華為、「HarmonyOS 6」発表=iPhoneやMacともファイル共有可能に

中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、広東省深セン市)は22日、新世代の独自OS「HarmonyOS 6(鴻蒙6)」を正式に発表し、初期対象として90機種以上の端末で大規模ベータテストを開始した。今回の発表では、多端末間のシームレスな接続、AIによるスマート体験、そして強化されたプライバシー保護機能が主な特徴として強調されている。
鴻蒙OSは2015年に開発プロジェクトが立ち上げられ、現在ではAndroid(アンドロイド)、米Apple(アップル)の「iOS」に続く世界第3のモバイルOSに成長。前世代の「HarmonyOS 5」では、オープンソースコードへの依存を完全に排除し、システムの基盤からアプリ層まで独自開発を実現している。
華為の常務董事で端末事業グループ(BG)董事長の余承東氏によると、HarmonyOS 5を搭載した端末はすでに2,300万台を突破。普及スピードも急速に加速しており、導入初期の1,000万台到達までに約10カ月を要したが、そこから2,000万台突破まではわずか2カ月だったという。
今回のHarmonyOS 6は「星河互聯(Galaxy Connect)」アーキテクチャを採用し、接続性とセンシング性能が大幅に向上。データ転送速度は最大160MB/sに達し、ユーザーは端末同士を軽く“タップする(碰一碰)”だけで、写真や音楽、リンクなどを瞬時に共有できる。現在、この「タップ共有」機能に対応するアプリはすでに60種類以上。スマートフォン同士だけでなく、スマホとPCを軽く接触させることで、ファイルや動画、画像の共有も可能となった。
さらに注目すべきは、アップル製デバイスとの相互通信が実現した点だ。HarmonyOS 6では、iOS・iPadOS・macOS搭載機器とも「タップ共有」を通じてファイル転送が行えるようになり、クロスエコシステムでの連携性が大きく進化した。
AI(人工知能)体験面でも強化が図られており、鴻蒙独自の「スマートエージェント」フレームワークに基づく80種類以上のAIエージェントが実装された。旅行計画の作成、チェックイン、フードデリバリーなど多様なサービスを支援する。また、音声アシスタント「小藝(シャオイー)」は16の方言に対応し、「一言で写真を修正する」などの新機能も備える。
プライバシー保護も重点項目として位置付けられている。2025年9月時点で、99%の鴻蒙アプリが独自の安全アクセスメカニズムを導入し、不当な権限要求を240億回以上ブロックした。さらに、AIによる「覗き見防止」機能も拡張され、周囲の視線を検知すると自動的にアプリ内容を隠す仕組みを採用。暗号化共有機能も進化し、「一度だけ閲覧可能」な送信形式や、画像・動画・音声の暗号化送信に対応する。
余承東氏は「今後も分散技術、AIインタラクション、セキュリティ・プライバシー分野での革新を続け、全シーンでのスマートライフを広げていく」と語った。
米調査会社Counterpointのデータによると、2025年第3四半期時点でHarmonyOSの中国国内シェアは32%に達し、iOSを抜いて第2位に浮上。世界全体でもシェア4%を確保し、依然としてAndroid(79%)やiOS(17%)には及ばないものの、グローバル市場で確実に存在感を高めつつある。



